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編集長のズボラ料理(35) 豆乳ゼリー

彩りにユズの皮を細く切った乗せても良さそう

 香川県は「うどん県」に改名したいらしい。狙いはPRだが、高松に住んだ経験から言うと、その気持ちもわかる。いたるところで「うどん劇場」が展開されているからだ。
 竹清というセルフうどんの人気店があった。店の奥でうどんを打っているが、店の入り口では、おばちゃんが黙々と天ぷらを揚げている。だから、天ぷらが棚にズラリと並んでいる。ゆで卵の天ぷらまである。何で揚げるんやろ。
オーソドックスなスタイルは、かけうどんを頼む。ここで一瞬思案する。うどんは1玉にするか、2玉にするか。玉の数が増えれば、天ぷらなどのトッピングは減らす。いろいろなものを乗せたい。うどんも2玉は食べたい。胃の大きさは変わらないから、これは難問である。つまり、うどん玉の数と天ぷらの数は反比例の関係にある。などと考えながら悩むのだ。
 料金を払うと、つゆのタンクの前に進み、コックをひねって丼に注ぐ。その前に深呼吸をする。あわてると丼を落とす。僕はラジオ番組で、うどん屋からの中継を頼まれたことがある。そこは、つゆを注ぐ前に、うどんを「いかき」に入れて湯で温めるという中級者向けの店だった。生中継はここから始まった。
 オン・エアのとたん、丼を落とした。うどん問題について、僕が広く世に発した第一声は、「ガチャーン」に続いた「ごめんなさい」だった。それ以来、初心に戻って、うどん道に精進した。
 竹清で素晴らしい人を見た。注文はうどん5玉だけ。右手の丼に3玉、左手の丼に2玉。何とシンプルな。トッピングなどという飾りを取り払い、うどんそのものを楽しもうという姿勢。極めた人なのだ。僕はしないけど。
 1年前に高松を訪ねた際、友人に誘われて高松空港に行った。うどんの「つゆ」の試飲コーナーがあるというので。人気店が交代で、自分の店のつゆを提供し、小さな紙コップで飲む。つゆだけだから、もの足りない。当然のごとく、うどんを食べに行った。今回は友人に教えてもらった料理で、うどんのつゆが活躍する。
 豆乳にゼリーのもとを入れて煮立て、透明の容器に入れて冷やし、固める。うどんつゆにゼリーのもとを入れて煮立て、固まった豆乳の上に注ぎ、これも冷やして固める。スプーンで食べるが、おかずである。(梶川伸)

竹清

更新日時 2012/11/19


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