編集長のズボラ料理(29) ナスそうめん
調理器具は、しばしば新しいものを買う。正確に言えば、買ってみたくなる。ここ2年ほどで手に入れたものを挙げてみると……。
喫茶店をしていたことのある叔母が、大きな袋に入ったコーヒー豆を送ってきた。コーヒーミルがいる。その昔、結婚祝いにもらったことがある。台所の収納スペースを探してみたが、見つからない。それもそうだろう。豆をひかなくなって20年もたつので、収納スペースの奥で、静かに眠っているに違いない。そこで、新しいミルを買った。やがて、 1袋を飲みきって、ミルは流しの下の奥の方に身を引いた。
1年ほどたった。またコーヒー豆が届いた。ゴソゴソとミルを探すと、昔のものまで出てきた。何ちゅうこっちゃ。今は豆を使いきり、2つのミルはきちんと並んで、次の豆が着くのを待っている。
タジン鍋がはやったことがある。どうしてもほしい。ブームの初めだったので、5000円も出した。手にすると、うれしくなって、野菜や豚の蒸し焼きを作って食べた。たった3回。今は身を引いているが、ずうたいが大きいので、どこにあるかはすぐわかる。
手で持つタイプのブレンダーが必要だった。親類からたくさんカボチャをもらい、消費するにはパンプキンスープがいいと思ったからだ。早速、ブレンダーでカボチャをつぶし、生クリームなどを入れてスープを作り、飲んでみた。結構うまい。だから、立て続けに3回作った。すると、少し飽きがきた。今は押し入れの奥に身を潜めている。
スライサーは便利ではないかと考えた。野菜を薄く切るには、包丁より便利だし、ずっと早い。僕は大根を薄切りにするのに、5回は使った。ナスも時々。今は、収納棚の中で、見え隠れしている。
夏になってくると、ナスそうめんを作る。ここで、スライサーの出番となる。ナスのへたを取って、その切り口から薄切りにする。さらに包丁を入れ、そうめんのように細長い形にする。ビニール袋に切ったナスを入れ、カタクリ粉をかけてまぶす。鍋で湯を沸かし、ナスを入れて20秒ほどゆで、ざるに取って、すぐに氷水でほぐしながら冷やす。ナスの紫色があざやかなうちに、そうめんつゆとショウガで食べる。(梶川伸)
更新日時 2012/05/19