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センバツ出場の履正社「守りで流れを作る」

数人のスター選手が引っ張るのではなく、みんなで力を合わせて勝ち上がっていく履正社野球部。小保根主将「甲子園では緊張を楽しみに変えてプレーしたい」

 第84回選抜高等学校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)に2年連続4回目の出場を決めた履正社(豊中市長興寺南4)の野球部練習グラウンドは、茨木市東福井3の高台にある。高台のふもとまで聞こえるほど、選手たちの声は大きい。記者がグラウンドに入ると、すぐに選手が帽子を取って「ちわっす!」と、あいさつをしてきた。
 選手は平日、授業が終わった後の午後3時半に専用バスに乗り、午後4時過ぎにグラウンドに到着。帰りのバスが出る午後8時半まで練習する。土曜日は午後1時から、日曜日は午前9時には練習を始める。それでも部長の松平一彦教諭によると「寮のある学校に比べたら、練習時間は決して多い方ではない」という。
 部員は1年生18人、2年生17人の計35人。今年のチームは2011年のセンバツで4強入りしたメンバーがほぼ入れ替わった。エースは池田市・渋谷中学出身で1年生の東範幸投手。優しげな風貌の、おっとりとした感じに見えるが、性格を一言でいうと?の質問に「負けず嫌い」と即答した。「僕の球は特にスピードがあるわけでもない。でも、コントロールに気をつけて、きっちり打ち取っていく」と頼もしい。
 去年のチームは強力打線を誇った華やかなチームだった。今年のチームは堅実な守りをモットーとしている。主将の小保根誠君も「センバツでは守りで流れを作っていきたい」と話す。実際、秋の大会では10試合で5エラーという好成績だった。それでも、岡田龍生監督は厳しい。「秋大会はできすぎです。ウチはまだまだ。特に人間ができていない」
 岡田監督が理想とするチームは、「選手の1人ひとりが周りに目配り気配りできること」だという。監督からすると、選手はまだ自分のことで精一杯で、全体のことを考えられないのが歯がゆいらしい。監督の口癖は「自分から野球を引いてゼロになってはいけない」。野球ができる期間は人生の中で限られていると、部員の学力にも厳しいという。グラウンド横の部室小屋の壁には「球道即人道」の文字が掲げてあった。目先の勝利ではなく、野球を通じてもっと大きなことを学んでほしいという監督の思いだろうか。
 センバツは3月21日に開幕する。
             (早川方子)

更新日時 2012/02/27


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