編集長のズボラ料理(773) エビのケチャップ、マヨネーズ炒め
エビチリ、エビのチリソース炒めはうちでは作らない。僕は辛い物はどちらかというと好きなのだが、家族の中に、辛さに弱い人間がいるからだ。
辛さにはいろいろある。トウガラシ、カラシ、ワサビ、ショウガ、サンショウ、コショー、ラー油……。そのうち、ワサビは何とか食べる。ただ、すしの場合、サビ抜きでも食べる。僕には考えられないが。
回転ずしの「くら寿司」に行くとする。最初にうどんを食べるから、すし屋さん行っているのかどうか、わからなくなる。しかも、うどんには、一味も七味もかけないから、さらに驚く。すしは、その後で、ワサビにがなくてもいいが、さらにさらに驚く。
僕は高松市に1年5カ月住んでいた。讃岐うどんは食べまくった。その時は、一味や七味はかけなかった。辛さを避けたわけではない。讃岐うどんはおろしショウガをかけるのが王道なので、トウガラシはお呼びでなかった。
息子が子どもころ、カレー屋さんに行った時だった。辛さを指定できる店で、1辛から5辛まであった。僕は3辛にした。息子は辛いのに弱いのだが、勇気を出して2辛を選んだ。そして、「辛-ッ」と叫んで、食べるのをやめてしまった。普通の1勇気では、2辛に及ばないのだ、5勇気は必要だった。
それ以来、自宅でカレーを作る時は、ルーは甘口か最高でも中辛を買ってくるようになっしまった。仕方ないから、僕は食べる時に、カレー粉をかけることになった。息子が大人になって家を出ても、その伝統は続いている。
カレーに限らない。麻婆豆腐も甘口か、せいぜい中辛。辛くないから、麻婆らしくない。仕方ないから、僕は食べる時にサンショウをふる。
では家族はサンショウをいっさい口にしなかというと、そうではない。ウナギのかば焼きにはかける。どうも、基準がはっきりしない。
はっきりしているものもある。冷凍ギョウザを食べる時に、たれにはラー油は入れない。インスタントラーメンには、決してコショウをかけない。僕など、コショウだけでなく、生のまま冷凍したサンショウの粒も入れるのに。551の豚まんに限っては、カラシを少しだけつけるが、これは礼儀みたいなものだ。
エビチリを食べないので、仕方がないから似たようなもの作る。むきエビを買ってきて、背わたを取る。フライパンにオリーブオイルをひき、ニンニクのみじん切りを入れて熱し、ニンニクオイルにし、エビを炒める。鶏ガラスープの素を加え、さらにケチャップで炒める。最後にマヨネーズを絞り、ひと混ぜだけして、マヨネーズが表面に一定残っているようにして、皿に盛る。
生春巻きはチリソースで食べるのが一般的だが、うちでは違う。甘みそをつけて食べる。辛いものに弱い家の知恵である。辛けりゃいいというものでもないし。僕はちょっと物足りないが。(梶川伸)2024.11.25
更新日時 2024/11/25