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編集長のズボラ料理(748) キュウリとミョウガの塩コンブ和え

白ゴマは多めの方が好み

 夏の悩みの1つはキュウリだ。新聞記者時代の同僚が定年後ファーマーを楽しんでいて、収穫物を送ってくる。量が半端ではない。段ボール箱に詰めてくる。その半分がキュウリのことがある、こうなると大変だ。全量を消化するのは、並大抵のことではない。
 当然、ご近所さんにもおすそ分けする。いや、していた。過去形にしたのにはわけがある。
 昨年、遊び仲間で滋賀県草津市立水生植物公園に行った時のことだった。バスに乗っていると、地元のおばちゃん同士がおしゃべりしているのが聞こえた。「キュウリをよくもらうけど、あまりもらってもねえ」
 これはグサッと心に刺さった。僕が手に余るのでおすそ分けしている面もあり、ご近所さんはバスのおばちゃんと同じ思いかもしれないと気付いてしまった。そこで、今年はすべて自家消費する決断をくだした。
 例年は2本立てで対応する。1つは生で使う。もろキュウにしたり、南蛮漬けにしたり、ポテサラの具にしたり。もう1つは、エバラ浅漬けのもとで漬ける。
 今年はもう1つ消費手段を加えた。無印良品で発酵ぬかどこを買ってきた。ぬかは初体験だが、「毎日かき混ぜないぬかどこ」と書いてあったので、キュウリのために決断した。
 僕の作戦はこうだ。浅漬けとぬか漬けを交互に、毎日1本ずつ食べるノルマを課す。余力があれば、プラスαで生にも挑む。これならば、20日で完食する。そのためには、生のレパ-トリーを増やし、消費速度を加速させる必要があった。今回のズボラ料理もその一環。
 キュウリは皮をゼブラ状にむき、薄めの斜め輪切りにする。ミョウガは縦半分に切って、さらに薄いくし切りにする。それらを細い塩コンブとゴマ油で和え、皿に盛って、白ゴマをふりかける。
 作戦は順調に進み、半ばにさしかかったころだった。ご近所さんがキュウリを5本持ってきてくれるハプニングが起きた。「庭でできたから、少しだけど」
 いや、決して少しではない、追加分だから。この時、バスのおばちゃんの気持ちを真実かみしめた。結局、全制覇するまでに1カ月近くかかってしまった。しかも、ぬかは表面に白いものが浮いてくるので、結局はキュウリを漬けるたびに、かき混ぜるはめにもなってしまった。(梶川伸)2024.08.02

更新日時 2024/08/02


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