このエントリーをはてなブックマークに追加

編集長のズボラ料理(738) ワカメの玉子焼き

物足りなければ、具を追加してもいい

 お遍路さんの休憩所造りの活動「ヘンロ小屋プロジェジェクト」に加わっている。趣旨に賛同願った方々の寄付金などで、これまでに58棟の休憩所「ヘンロ小屋」ができた。ありがたいことだ。
 毎月1回、プロジェクト主宰者の事務所(大阪市中央区)に活動メンバーが集まって、まじめに会議を開く。その後は、近くの居酒屋さん「大名酒蔵」で、まじめに一杯飲む。20年ほどの習慣だから、会議が終われば、何の合図もなく、全員の足は勝手に動き出す。パブロフの犬Aか。学習したAIのように、全自動で動き出す。
 ところが先日、反省会の店を変えた。テレビで見て、おもしろそうな店だと思い、みんなを誘ってみた。何と、日本酒が1合1円だという。ほんまかいな、である。
 JR天満駅前の立ち飲み屋さん。ほんまに1合1円だった。こんな安い日本酒の店があるとは。店との一期一会に感謝した。
 そこを知るまでは、奈良市の店「拓」が、僕にとっては日本酒が1番安い店だった。盃1杯100円。ガラス張りの冷蔵ケースに日本酒の瓶が置いてあり、自分のテーブルに持って行き、卓上の盃に入れて飲む。新しい日本酒を運んでは、新し杯で飲み、料金は杯の数で計算する。1000円使えば、10種類の日本酒を飲むことができる。
 アイデア店主で、無料の付き出しにも工夫をこらす。うまいと思ったのは、冬のセリ鍋。鍋にだしが入れてあり、セリが根っこごと入っていた。それを卓上コンロにかける。
 無料だと確認して喜んだが、セリを食べてしまうと、だしがもったいない。そこで、いくつか具を追加した。焼いた揚げ、シイタケ、そして生ワカメ。味もうまいが、アイデアもうまい。原価は安いだろうワカメを使っている点も感心した。
 遍路で四国に行った帰り、淡路島のハイウェイオアシス寄ると、必ず買うものがある。タマネギスープの素と塩蔵ワカメ。ワカメは自宅近くのスーパーでも「生」として売っていると、これも買いたくなる。だから、家には、ワカメがいつもある。
 生のものは日持ちがしないが、安いのに量があるので、大あわてで食べる、今回もそうだった。
 ワカメは水分を除き、乱切りにする。木の芽の葉を茎から外す。ボウルに卵を割り入れ、白だし少々を加えてよく混ぜる。卵焼き用のプライパンに油をひいて熱し、卵を流し入れる。その上にワカメ、木の芽を並べてさらに焼き、卵に火を通す。
 友人が春になると毎年、イカナゴのくぎ煮を作って、おすそ分けにあずかっていた。ところ乱獲のせいで漁獲量が減り、イカナゴの値段がどんどん上がっていった。たまりかねて、イカナゴをあきらめ、ワカメの茎の佃煮に変更し、これもおすそ分けにあずかっていた。同じように方向転換した人が多かったのだろう。今度はワカメの値段も上がってきた。腹立たしい限りで、「わけワカメ」という言葉を思い出してしまった。(梶川伸)2024.06、

更新日時 2024/06/19


関連リンク