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編集長のズボラ料理(715) パエリア

水分の飛ばし具合が大事

 うちのすぐ前に、イオンモールがある。玄関を出て、道路を渡ると、1分でイオンの敷地に入る。そこから駐車場を通り、建物に入って食料品売り場まで1分。計2分で食材を手にいれることができるから便利この上ない。
 ありがたいことだが、 もっと便利なことがある。この上のさらに上と言っていい。
 イオンは建設する時、敷地の周りにいろいろな木を植えた。その中にヤマモモが10本ほどある。実が小さいためか、だれも取ろうとしない。もったいないではないか。
 そこで僕が、周辺住民を代表して収穫する。都合のいいことに、建物の裏側の方に木が集まっているので人通りも少なく、気にせずに取ることができる。それで毎年、ヤマモモ酒を造る。これぞ、ただ酒。
 イオンができて16年になった。ヤマモモの木も大きくなり、ほとんどの木は実に手が届かなくなった。でも大丈夫。歩道橋のすぐそばに、数本あるのだ。木の背が伸びたので、歩道橋の上からちょうど届く。素手で触ると手が真っ赤になるので、手にビニール袋をはめて取る手間はあるが、レジを唐須必要もないから、イオンには感謝している。 
 このたび、もう1つイオンの無料食材の世話になった。それはクチナシの実。時期は遅いのだが、まだ残っていた。木は低いので、簡単に摘むことができるのだが、1つ問題がある。敷地への入り口から少し入った場所にあるので、近くにガードマンがいるのだ。
 だれも取らないので、僕が摘んでも構わないと思うのだが、どうもその目が気になるので、ずっとちゅうちょしてきた
 クチナシの実は黄色の着色料になる。サフラン代わりにも使われる。サフランは高いが、イオンのクチナシなら無料。意を決して先日、実を2ついただいた。
 しまった。あわてて素手で引きちぎってしまった。どこか後ろめたさがあったのだろう。実はつぶれて汁が出て、手は黄色の染まってしまった。
 数日後に再挑戦した。今回はビニール袋ををはめて近づき、サッと2つだけもらうことに成功した。
 何に使うか考えたが、ありきたりのパエリアにした。ただし、パエリアも作るのは初めてで、ズボラ流の簡単版にした。
 エビを焼く。実を取り出し。殻は鶏ガラスープの素と一緒にゆでてスープを取る。アサリを酒蒸しにし、実を取り出すと同時に、スープは容器に取る。電気の鉄鍋にオリーブオイルとみじん切りのニンニクを入れて熱し、香りが立ったら米とクチナシの実を切って加えて炒める。エビ、アサリ、イカ、ミニトマト、スライスしたマッシュルーム乗せ、エビとアサリのスープを加え、塩、コショウをふってから、ふたをして蒸し焼きにする。最後にふたをとって米に少し焦げがつくくらいまで焼く。
 イオンは食材の宝庫だ。建物の中はもちろん、外も。だから行くJ時には、ビニール袋を忘れてはならない。(梶川伸)2024.02.24

更新日時 2024/02/24


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