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編集長のズボラ料理(668) 鯛のコンブ茶じめたたき

2枚おろしした鯛にコンブ茶をまぶして焼いてもいい。この場合は完全に火を通す

 お店で食事をしたとする。たいての店は2回飲み物が出てくる。
 洋食系統の店では、飲み物がシンプルだ。料理を注文する時、店員さんがコップに入れた水を持って來る。食べ終わった時、気の利いた店は、水をコップに継ぎ足してくれる。前も後も水だから、分かりやすい。バラエティーがあるとすれば、レモン果汁が入っているかどうかくらいのものだ。誤差の範囲である。」
 和食系統の店では、複雑になる。前は水のこともあるが、お茶⑦場合が多い。お茶は緑茶であったり、番茶であったり、時にはほうじ茶であったりする。京都では、ほうじ番茶も加わる。夏には麦茶のこともある。ソバ屋さんの場合は、ソバ茶も出てくるから、さらに複雑になる。
 後はどうか。ほとんどはお茶の継ぎ足しだが、気の利いた店では新しい湯のみで運んでくる。そうなると、「なかなかいい店や」と、一挙に自分内ランクがアップする。
 時として、聞かれることがある。「お茶にしますか?コンブ茶にしまか?」。そうなれば、「コンブ茶を」と答えてしまう。何だか得をした感じがするからだ。
 自宅で飲むとする。お茶だって、コンブ茶だって、お金を払って買ってきてある。コンブ茶の粉は、量が少ないのに、それなりの値段がする。それが店では余分にお金を払わなくてもいいので、コンブ茶に傾いてしまう。
 友人がボラティアで、お年寄りのデイサービスの施設に行っていたことがある。喫茶室の手伝いだった。コーヒー1杯が100円だったと思う。それ以外にも飲み物があって、いずれも100円。人気なのは、夏はカルピス、冬はコンブ茶だそうだ、コンブ茶は、わざわざお金を払って飲むものなのだ。それが、お店では追加料金なしで飲めるのだから、お茶かコンブ茶かと聞かれれば、コンブに傾くのは自然な流れと言える。
 刺し身用の鯛の切り身にコンブ茶の粉をまぶし、ラップで覆ってしばらく冷蔵庫に入れておく。ラップをはずしオーブンに入れ、強い火で両面を焼く。タタキの要領で、中の方は生の状態を残す。食べやすい大きさに包丁を入れ、好みでワサビしょうゆをつけて食べる。
 コンブ茶は昔は、わが家の常備品だった。やがて梅コンブ茶が出てきて、これも結構飲んだ。ところが、いつのころからか、姿を消してしまった。
 今は料理に使うために置いているくらい。必ず小さな缶に入っている。よく飲んでいた時は、飲み終わっあとの缶をどうしていたのだろう。たくさんたまっていたのだろうか。カンがええしまう。最後はお茶を濁していまったか。(梶川伸)2023.06.20

更新日時 2023/06/20


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