編集長のズボラ料理(669) シロネギとショウガのかき揚げ
天ぷらの中に、かき揚げというジャンルがある。これが何とも上品で、イメージが良い。
僕が天ぷらの中で1番好きなのは、サクラエビのかき揚げだ。大きなエビは揚げ物のビッグスターに違いない。でも、小さなサクラエビを集めてサッと揚げると、大物もこれにはかなわない。
以前は毎年春になると、弟が生のサクラエビをクール宅急便で送ってきた。それをかき揚げると、春の喜びがピチピチとはねる。
サクラエビのかき揚げは色がいいではないか。淡いピンクは、春の象徴に思える。紅枝垂れ桜を思わせるし、タニウツギやバラのピールドロンサールも思い浮かぶ。偉そう書いたが、ピンク色の花で知っているものを並べただけのことで、底の浅い話でしかない。
上品な香ばしさもたまらない。香川県の志満秀か、愛知県の坂角のエビせんを思わせる。偉そうに書いたが、エビせんで知っているものを並べただけで、底が浅すぎる話。
3つ目を考えたが、カルビーかっぱえびせんしか思い浮かばない。それはあまりのにも当たり前なので、並べるのを控えた。ただ、かっぱえびせんの中に、「桜えび100%」があるらしいのだが、食べたことがないので、僕のサクラエビ好きも大したことはない。
サクラエビだけではない。琵琶顔では、スジエビのかき揚げを食べた。
エビだけでもない。ゴボウの天ぷららとささがきにしたもののかき揚げがあれば、かき揚げを選ぶ。讃岐うどんのトッピングには、かき揚げを乗せたくなる。友人の家で飲むために、デパ地下でつまみを調達した時には、キクナのかき揚げを選んだりする。
そこで今回は、家で酒のさかなとして、かき揚げを作ることにした。ちょうど、新ショウガを買ったばかり。これだ、これだ。
新シオウガを細長く切る。白ネギは縦に半分に切り、斜めの半月切り。2つをビニール袋に入れる。多めの小麦粉に少しコーンスターチを混ぜてビニール袋の上から入れ、袋を降って、具材にまぶす。ボールに移し、水を少し加えてよく混ぜ、衣をつけたようにし、はしでつまんで油で揚げる。
かき揚げは上品なものと思い込んでいた。大阪市・長居公園近くのうどん屋さんは、そうではなかった。エビとサツマイモなどの野菜が、さいころ状に切って揚げてあった。ゴロゴロのかき揚げ、これは豪快だった。(梶川伸)2023.06.25
更新日時 2023/06/25