編集長のズボラ料理(550) アボカドギョウザ
ギョウザには強いイメージがついている。豚ミンチと刻んだ野菜を皮で包み、鉄板で焼いたものがそうだった。珉珉のギョウザがそうだったし、王将や大阪王将もそうだ。
5年ほど前、何十年かぶりかで珉珉に行った。大昔はギョウザとジンギスカンを頼んでいたが、その日はギョウザ一本槍でビールを飲んだ。それはなじみ深い焼きギョウザで、安心できるギョウザだった。若いころに、ジンギスカンを食べていたのは、邪道だったと反省した。
遊び仲間で、大阪市河内長野市の岩湧山にシュウカイドウの群生を見に行ったことがある。山から下りて来て、のどをうるおすことになった。メンバーは10人あまり。この人数で、しかも午後3時ごろに急に行く店は、王将しかないのだ.テーブルをいくつかくっつけて、安定感のあるギョウザをたくさん頼んで、ビールを飲んだ。
ギョウザとはそういうものだが、その常識が崩れた店があった。記者になって5年目くらいの時だった。大阪駅南側の再開発がすむ前、先輩に古い平屋建ての居酒屋さん「福寿草」に連れていってもらった。中国残留孤児が帰国して開いている店だった。
週に1回だけ、中国の味がメニューに入る。それはギョウザだったが、焼きではなく、水ギョウザだった。中国では水ギョウザだと知っていたが、食べるのは初めてだった。
もう1つ、意外なことがあった。皮で包む中身は豚ミンチと野菜ではなく、豚ミンチとエビと貝柱だった。ギョウザといえばギラギラしたものだと信じていたが、福寿草のものは何と上品なこと。
さらに追い打ちをかけたのは、ニンニクは使わないことだった。日本ではニンニクの入ってないギョウザなんて、という感覚だし、中華料理とはニンニクを使うもの、といった思い込みがある。それなのに、ニンニク抜きとは。これなら、食べた後でガムをかむ必要はない。
福寿草には何度か通ったが、再開発が進んで、店はなくなった。しかし、その店で知ったことがある。ギョウザの皮で包めば、中身は何であってもギョウザということだった。ということで、今回は変わりギョウザ。
アボカドの皮をむき、細かめに切り、ボウル入れる。ベーコンをみじん切りして、ボウルに入れる。マヨネーズとポン酢を加え、よく混ぜてから、ギョウザの皮で包む。フライパンで焼き、コショウを加えた鶏ガラスープを注いでふたをして蒸し焼きにし、最後はふたを取って、皮をパリッとさせる。
何だか、ギョウザらしくないなあ、とちょっと思うかもしれない。そんな時には、味の素の冷凍餃子を焼くことをお薦めする。何ともギョウザらしい。(梶川伸)2023.02.27
更新日時 2023/02/27