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編集長のズボラ料理(638) カブのタラコ乗せ

タラコを多く乗せると辛くなるので注意

 娘が遊びに来ると、食べ物を作る。娘に食べさせるためだが、僕にとっては飲むためである。「歓迎」の名目で、昼間から飲めるから都合がいい。
 先日はメーンをカマンベールチーズ鍋(編集長のズボラ料理58)にした。手間がかからないからだ。それ以外にも、いくつか作った。夕食まで飲むためである。
 料理の1つに、カブのタラコ乗せがあった。それを見て娘が言った。「また、居酒屋さん料理やな。どこの店?」
 いつものことで、「こんにちわ」に近いニュアンスがある。まあ、そう言われても仕方がない。僕の作るものの中で、居酒屋さんメニューのパクリがかなりのパーセントを占める。特にメーン以外のものは。
 娘は必ず続ける。「オリジナリティーがないからなあ」。「どこの店?」はかかり言葉みたいなもので、これで完結する。これも仕方がない。居酒屋さんの料理は、実にはよく考えられていて、なかなかそれを上回ることができないからた、そっくりまねするか、変えるにしてもマイナーチェンジをして、よく娘に食べさせた。
 ただ今回は、僕は複雑な立場にあった。娘の常套句は当たっていないのだが、突きつめれば当たってるとも言えるからだ。カブのタラコ乗せは居酒屋さんで食べたものではない。だあら、指摘は当たっていない。本に書いてあったのを思い出して作ったのだ。ただ、本の名前が「飲める料理」に近いタイトルだった気がする。つまり、居酒屋さんの料理を紹介しているようなものだった。だから、当たっていりうとも言える。
 ワサビを酒と白だしで伸ばし、タラコを漬けておく。カブは皮を厚めにむき、薄切りにする。赤カブも薄切りにする。それぞれ軽くコンブ茶を振る。タラコを輪切りにして乗せる。
 居酒屋さんの料理は、アイデアを盗むのに都合がいい。簡単だから、店の人に聞かなくても、作り方はある程度想像がつく。今回は本が元になっているが、作り方は記憶になかった。ただ、カブとタラコとワサビという組み合わせは覚えていた。これさえ分かれば、何とかなる。本に書いてあったのと違っても、ズボラ料理では誤差の範囲といえる。
 テーブルに乗せたその料理はどうなったかというと、娘は1口食べただけ。それで、自分の指摘が当たっているのを確信したのだろう。ほとんど僕の酒のあてになった。(梶川伸)2022.12.13

更新日時 2022/12/13


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