編集長のズボラ料理(630) 栗と鶏の焼き煮
年利のせいか、寝ていると時々足がつることがある。いわゆる、こむらがえり。
夜中にトイレに起きると、足がつっている。つっているから目が覚めたのかもしれない。こうなると大変。狭い家の中を歩き回って。つるのが落ち着くまで待つ。真夜中の1人競歩大会である。
そんなことを、遊び仲間の例会(実のところ飲み会)で話した。同年代のメンバ―だから、「ある、ある」と、典型的老人談義で盛り上がる。
仲間に保健師がいて、漢方の「しゃくやく・かんぞう」は、即効性があると教えてくれた。原因については、水分不足という。僕は腰が悪いので、それか影響していると自己分分析するのだが、全否定された。こちらは「分かってないなあ」と反発する。
高血圧の薬をもらうため、1カ月半に1度、自宅近くの医院に行く。同年代の女医さんなので話しやすぃ。足がつることを話し、「漢方の…」と言っただけで、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」を出してくれた。有名な薬なのだろう。
そでに、自説の越由来節を言ってみた。保健師と同じように否定し、やはり水分不足だと言う。ここは、女医を信じることにした。
何せ、この先生、すご技を持っている。聴診器で僕の心臓の音を聞いていても、共通の関心事、おいしいお店の話をすると、先生は聴診器の片耳のイヤホンを外す。つまり、イヤコンをはめた右の耳で心音を聴き、外した左の耳で僕の声を聞く。こんなすごい先生の考えなら、信じるのが当たり前ではないか。特に店情報については。
遍路仲間で神戸市ののフルーツフラーパークで泊まると、3000円分クーポンがついていた。これを見越して、仲間の1人は、奥さんから指令を受けていた。丹波栗の産地に近いので、1麩2800円くらいの高いもの買って帰れと。
僕もその考えに乗ることにした。道の駅で探したが、奥さん指定の2800円栗はない。仕方なく、大きめの栗が20個入って550円の袋にした。僕も。
仲間が栗の皮をむく良い方法を教えてくれた。栗の頭に切れ目を入れ、1日冷凍する。2分ほど熱湯でゆで、冷めないうちに皮をむく。
なーるほど。その通りやってみた。100円ショップで買った道具でむく。確かに生のままよりは楽。しかし、20個をむくのは大変で、次第に右手の指がつってきた。休み休みむき、芍薬甘草湯も飲みながら。栗の皮むきは、生死をかけた戦いと言ってもいい。
むいた栗をゆでる。鶏肉をぶつ切りにし、フライパンに軽く油をひき、皮の方から焼いて焦げ目をつけたあと、ほかの面も焼く。栗を加えてさらに炒める。鶏ガラスープを加え、砂糖、しょうゆで味をつけ。最後にオイスターソースをたらす。
栗の皮をむくたびに、「もうしないぞ」と決意する。めんどくさいからだが、今回のように手がつるようでは、もはや手に負えない。(梶川伸)2022.10.31
更新日時 2022/10/31