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編集長のズボラ料理⑪ タケノコとエビの揚げだんご

タケノコ以外の具は好みで

 5月に入って、僕の家は「雨後のタケノコ」状態だった。
京都府の最南部に住んでいる。タケノコの産地に近い。スーパーには地元の野菜が並ぶコーナーがある。走りのタケノコを買って若竹煮にし、初夏を味わった。
 翌朝、友人から電話があった。「タケノコを掘りに来い」。彼は里山づくりを手伝っている。そのフィールドが僕の家から近く、しばしばお呼びがかかる。美しく変わってゆく里山が、自慢なのである。
 里山に行くと、彼は作業着姿で待っていた。ヘルメットに長靴、腰にナタを差し、手にはクワを持っている。「さっき、タケノコを掘ろうとしている男がいたので近づいたら、逃げた」と話す。そうだろう。彼のスタイルは異様なのだ。
 今度は僕が掘る。彼が見とがめた男はだめで、僕はオーケーというのも、ちょっと変な話なので、遠慮して小さいのを2つだけ掘り起こした。家に帰って、すぐにゆでた。しばらくして、また彼から電話があった。大きいタケノコを収穫したので、マンションの下まで持ってきたのだという。また、ゆでた。
 翌々日、親類からどっと、タケノコが届いた。ゆでて送ってきているから、これはありがたい。結局、10日間で、若竹煮2回、天ぷら2回、タケノコご飯2回、炒めもの1回、それにタケノコとエビの揚げだんご1回をこなした。
 揚だんごは、遍路仲間に教えてもらった。ゆでたタケノコの固い部分はすり下ろす。柔らかい部分は小さく刻む。少し置くと、水分が出るので、これは捨てる。エビを適当に切り、大葉のような青みを彩りに加え、卵を落として練り、だんごにして油で揚げる。食べる時は、塩味程度で良いと思う。
 タケノコを平らげてホッとしたころ、遍路仲間から昼食に誘われた。タケノコを大量にもらったので、仲間で食べるのだと言う。断ろうと思ったが、「ビールも用意する」の言葉に負けた。
テーブルの上に巨大な鍋が置いてあり、中はタケノコだらけだった。もう、イヤッ。僕はお土産に持っていったスモークサーモンとブリの白子の煮つけばかり食べた。タケノコの煮つけは、大量に残った。持って帰るように勧められたが、これだけは敢然と断った。  (梶川伸)

タケノコとエビの揚げだんご

更新日時 2011/05/11


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