編集長のズボラ料理(596) タコとオクラの炒めもの
料理は人気があると、オリジナルをアレンジしたものが次々と出てくる。変化は変化を呼んで、元の形からどんどん離れていく。どこまで当初の名前を使っていいのか、これは大きな問題だ。
タコ焼きに例をとってみよう。普通はソースをかけて食べる。外で食べる時はそれでいい。ただ、マヨネーズはかけたくない方だ。何だかタコ焼きの限界を超えるようなきがする。
僕は家で作ると、しょうゆをかける。お好み焼きでも同様。これくらいのマイナーチェンジは、タコ焼きの概念から外れないと思う。奈良のタコ焼き屋さん「粉もん屋八」は塩タコ焼きが人気だ。これも許容範囲だ。しかし、さらにマヨネーズをかけるのがもっと人気で、これは邪道だ。つまり、マヨネーズがいけない。では、カレーならどうか。
奈良県生駒市のタコ焼き屋さん「たこどうらく」で、カレーギョウザタコ焼きを食べたことがある。カレーのルーを皮で包んだギョウザを具として、タコ焼きにしている。カレーのルーの中にタコが入っているので、タコ焼きの核はある。しかし、カレーなのか、ギョウザなのか、タコ焼きなのか、はっきりしてほしい。ここまでくると、タコ焼きの範囲を超えている。食べて、おもしろいと思ったけど。
ここまではタコを使っている。違うものを使ったらどうなるのか。
随分昔、天神祭りの日、大阪・泉州の農協が、タコ焼きの露店を出していた。具は1つだけ。それはタコではなく、泉州名物の水ナスだった。これはタコ焼きなのか。
子どもが小さいころは、タコ焼きをしばしば作った。関西人はみんなこうして、一家の団結を保ってきた。しかし、大人になって家を出ると、その必要はなくなる。我が家も同じで、タコ焼きはを消し、その代わりタコのニンニクオイル炒めをよく作るようになった。タコ焼き器をしまった場所がわからないからだ。
これはタコ焼きなのだろうか。自問自答しながら作っている。そんあ迷いもあるし、いつもそれでは飽きてくる。今回はさらにアレンジした。
タコはぶつ切り。オクラはへたの部分を切る。フライパンでニンニクオイルを作り、タコとオクラを炒める。味つけは酒、みりん、しょうゆ、ラー油。
新大阪駅で「旅のにぎわい膳」という名の駅弁を買ったことがある。ご飯はクリの乗った赤飯と、タコの炊き込みご飯の2種類。おかずはイカナゴのくぎ煮、串カツ、サケの塩焼き、煮豆、カマボコ、玉子焼き、牛肉のしぐれ煮。煮物はサヤインゲン、豆腐、レンコン、カボチャ、サトイモ、ニンジン、シイタケ、レンコン、エビ、ガンモドキ。ともかくにぎやかなおかずだった。でも、それだけでは、大阪らしくないのだろう。タキコ焼きもきちんと入っていた。(梶川伸)2022.0
更新日時 2022/04/27