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編集長のズボラ料理(518) ヒスイナスと新ショウガの白じょうゆ和え

ヒスイナスはレンジでチーンして、皮をむく手もある。

 子どもころ、野菜が嫌いだった。ほとんどの子どもがそろうからろうから、まともな子どもだったといえる。
 嫌いな野菜の中では、ナスはましな方だった。「好きではない」程度の嫌いさに留まっていた。それは、いつも食卓に漬け物があって、ナスにも慣れていたせいだろう。
 おふくろは漬け物が好きで、ハクサイ、キュウリ、ナスは欠かさず漬けていた。特にナスについては、釘を入れるだとか、ミョウバンを使うだとか、子どもにはわけのわからないことを言っていて、免疫ができかかっていたに違いない。
 実はもう1つ、理由がある。おやじは小ナスのからし漬けが好きで、出張の帰りなどに買ってきた。そのままでは辛いが、からしを落としてしょうゆをつければ、子どもでも何とか食べられた。
 大人になり、さらに年をとるにつれて、ナスは「好きではない」ではなく、好きに大きく傾いてきた。小ナスのからし漬けは、今では好物になってる。
 ナスが好きなったのには、いくつかの転機があった。1つは水ナス。ある時、農家の人が道端で売っていた。「農作業をしていて、のどが乾いたら、裂いて食べる」と言われ、試食を勧めた。確かに水分が多かった。以来、水ナスは漬け物も食べるが、生のまま裂いて食べて、通ぶるのを、客に見せることもある。嫌なタイプである。そんなこんなで、小ナスに加えて、大きなナスも好きになった。
 2つ目は居酒屋さんメニューの揚げだしナスビだった。揚げ出し豆腐はよく食べたが、豆腐の代わりに米ナスを使っていた。これは丸いナス。これがなかなかいけるので、居酒屋さんで「揚げ出しナスは米ナスやね」と通ぶって注文する。嫌なタイプである。
 3つ目は長いナス。僕の記者時代の同僚が定年後、愛媛県宇和島市で野菜を育てていて、夏になると長ナスを大量に送ってくる。「またか」と言いながら、バクバク食べる。これがなかなかいける。量が多いので、子どもにもおすそ分けする。「長ナスがいけるの知ってる?」と。嫌なタイプである。
 小、大、丸、長と、今では何でも食べる。では、色はどうか。白ナスを見た時は、目を白黒させてしまった。やっぱりナス紺がおいしそうに見えるが、食べるとナスの味がする。当たり前や。で、調子に乗って今回は黄緑色のナスを使ってみた。
 ヒスイナス眺めに切り、サッと素揚げする。新ショウガを千切りにしる。この2つに白だしをかけて和え、しばらく冷蔵庫に入れ、冷やすとともに漬け込む。
 ヒスイナスは色が命。涼しを演出するには、黄緑を保たなければ。味より色である。(梶川伸)2021.07.02

更新日時 2021/07/02


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