このエントリーをはてなブックマークに追加

編集長のズボラ料理(499) 簡単ホワイトソース大根

テレビでは確か、タカノツメも使って、ペペロンチーノ風にしていたと思う

 出汁(だし)とは何か。今回の出し物は出汁である。
 「出汁は和食の命」だという。「髪は女の命」というがごとし。
 ただ、「髪は男の命」と言った人がいた。随分昔に取材したデザイナー、古川雲雪さんだった。僕が出会った男性で、1番髪が長かった。なぜ、伸ばしいているのかを聞くと、旧約聖書に出てくるサムソンとデリラの話を持ち出した。
 サムソンは怪力の英雄。力の源は髪だった。ところが愛したデリラに欺かれ、髪を切って力を失った。だから古川さんは髪を切らずに伸ばしたと言った。
 僕も古川さんに感化され、髪を伸ばした。で、どうなったか?
 髪は女性ホルモンが支配しているらしい。長すれば長くするほど髪に負担がかかり、やがて髪は力を失っていった。わかりやすく言えば、どんどん抜けていった。「髪は男の命」ではないことを痛感した。
 出汁といえば、コンブ、カツオ節、イリコが代表格だろう。僕は転居が多かった。だから、三大出汁はそれなりに経験した。その中で、インパクトが強かったのは、イリコだった。
 高松市に1年5カ月住み、讃岐うどんを食べまくった。讃岐うどんの基本はイリコだし。一般的には煮干しとも言うが、香川ではイリコ。しかも、伊吹島のイリコにこだわる。
 イリコは強い出汁がでる。香川県人はうどんの玉とイリコだしがあれば、それだけでいい。細かい味付けは気にしない。かけうどん(素うどん)なら高くても200円台だから、そんなことは大したことはない。
 三大出汁はいずれも海のものだが、陸の出汁もある。その代表格は干しシイタケだろう。高野山の総持院に泊まって精進料理を食べた時、その力を知った。
 最近は野菜の出汁も人気がある。茅乃舎(かやのや)はアゴ出汁が中心かと思ったら、うちの娘などは野菜出汁を買っている。それなら、自分の家で野菜を煮ればいいではないか、と思うのだが、茅乃舎にはかなわないらしい。そんなズボラの娘に目にものを見せるために、大根出汁で勝負する。実は、テレビで見かけたものを参考にしたのだが、そのこことは黙っておこう。
 大根を拍子切りにして軽くゆでる。フライパンにオリーブオイルをひき、ニンニクのスライスを入れてゆっくり熱し、ニンニクオイルを作る。ゆでた大根を、ニンニクオイルで炒める。ゆで汁を加えてフライパンの中でさらに炒め煮する。コショウと白だしをいずれも少し加え、大根が軟らかくなるまで煮る。水分がなくなってきたら、牛乳を入れて熱し、最後に少しカタクリ粉をふり、よくかき混ぜる。
 ズボラ娘のためのズボラな出し物はこれで終わり。出演は大根役者の親でした。(梶川伸)2021.04.22

更新日時 2021/04/22


関連リンク