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編集長のズボラ料理(424) 瓶詰めウニのパスタ

瓶詰めウニの色をきれいに残すと、おいしそうに見える

 ウニは高い。だから自宅の夕食用に買うことは、まずない。
 正月に子どもたちが帰ってくる時に、たまに奮発する。子どもたちはウニ好きだから、2つ買う。それでも量は多くない。そこで、1腹ずつ、チマチマ食べる。
 何でもそうだが、桐の箱に入っていいると、それだけで高級品ということになる。ウニは桐ではないが、箱に入っている。こんな食べ物は滅多にない。だから食べるのも、チマチマとなる。ガバガバでは瞬間的になくなるからだ。
 高いから箱に入っているのか、箱に入れて高く見せているのか。これは永遠のなぞ謎だ。高いなら桐の箱にするばいいし、そうでなければ木ではなく、箱に入れなくてもいいではないか。
 食べ物はチマチマで満足するはずかない。だからウニば欲求不満も一緒に箱に入っている。
 てっさの場合も高級感漂うが、それでも切り身の数はウニに比べれば多く、はしで数枚を1度にすくって食べたとしても、1回だけなら一緒に食べている家族にチラッとみられるくらいですむ。
 ウニはそうはいかない。1度にすくう方式になら、2回で1箱が終わる。家族に白い目で見られながら、その方式にチャレンジする勇気は持ち合わせていない。そんな冷たい雰囲気は、家族だんらんにはふさわしくない。だから、ウニは買わない。
 気兼ねなく食べるには、回転ずしに行く以外にない。ウニの軍艦巻きで我慢する。軍艦の甲板を、キュウリが半分覆っていても、それは我慢する以外にない。
 旅に行けば気が大きくなるから、ウニを食べたくなる。東北に遊びに行き、青森県八戸市の魚介類中心の商業施設「八食センター」にも寄った。回転ずしがいいと教えられていたが、その店は客が並んでいるのであきらめた。入ったのは「いちば亭」という店だった。
 お腹はウニ丼の用意をしていた。が、食べたのは、イカ・イクラ・カニの三食丼。何とその日は、ウニが入荷していなかったのだ。腹いせにホヤとサバのキズシも食べた。どうも僕の場合、ウニとの相性が悪い。
 瓶詰めのウニは安いから、たいてい冷蔵庫に入っている。今回はそれを使って、ガバガバ食べる。
 パスタをゆでる。瓶詰のウニを牛乳と白だしで伸ばして、パスタを和える。皿に盛り、ミョウガと大葉の千切りを散らす。これなら、気兼ねなく食べられる。ウニのパスタと胸を張っても、かろうじて間違いではないし。(梶川伸)2020.07.29

更新日時 2020/07/29


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