このエントリーをはてなブックマークに追加

編集長のズボラ料理(421) ソラマメのニンニクオイル炒め

焦げ目がつくくらいに炒め焼きする

 きれいなものはおいしい。あるいは、おいしいのではないかと思わせる。
 魚は特にそうだ。遍路に行くから、高知でカツオのたたきは食べる機会が多い。その時に、身が赤ければ、おいしそうに感じる。
 カツオのたたき作りの簡単な体験をさせてもらったことがある。串に刺した生のカツオを火にかざして焼く。次第に皮は黒く焦げ、身の表面は焼けて茶色に変わっていく。2分も火かざすので、中まで火が通るのではないかと心配するが、切ってみると赤い。
 冷水に入れず、焼きたてを食べる。それもポン酢でなく、塩で。こうされると、赤い色こそ鮮度の照明と思い知らされる。
 ところが高知の友人は、せせら笑う。「やっぱり、刺し身じゃきに。鮮度が落ちたら、たたきじゃきに」。あの赤でも、刺し身には負けるのだろか。
果物もわかりやすい。熟れれば、色が濃くなり、それが食欲を誘う。
 僕はスイカが大好きだ。赤い方がおいしいのは、99%正しい。
 昔は丸ごと買うので、指でコンコンと皮を弾いて、熟れ具合を確かめた。本当はどんな音がしたらいいのか、はっきり知らないのに。つまりコンコンは、買う儀式みたいなものだった。
 儀式には作法がある。コンでは素気ない。コンコンコンではしつこい。だからコンコンと決まっている。
 これはスイカだけではない。ドアのノックもコンコンだし、トイレも。トイレの中の菊側になると、コンだけでは、次のコンがいつくるのかに緊張して、出るものも出なくなる。コンコンコン以上だと、出ているものも止まってしまう。
 スイカは最近、切ったものを売っていてので、選ぶのは楽だ。でもおもしろくない。当たり外れのスリルがない。福袋も同じで、中身がわかっている袋がはやりだが、それでは袋を開けるという儀式がないではないか。
 元同僚がソラマメを大量に送ってきた。さやの数にすればざっと200。連日食べまくった。豆には緑色のものと白いものが混じっていた。もらいものにいちゃもんをつけるわけではないが、緑の方がきれいだし、味がいい。やっぱり、色は味なのだ。
 ソラマメをさっとゆで、中の皮もむいで実だけにする。フライパンにオリーブオイルをひき、ニンニクのみじん切りを加えてニンニクオイルを作る。それでソラマメを炒め焼きする、皿に盛り、粉チーズをたっぷりかける。
 写真を撮ったが、緑の方が少ないのがちょっと残念。今度送ってもらう時には、色々注文をつけよう。(梶川伸)2020.07.13

更新日時 2020/07/13


関連リンク