このエントリーをはてなブックマークに追加

編集長のズボラ料理(390) キャベツと生ハムのミルフィーユ

キャベツの芯の硬い部分は省いた方がいい

 10年ほど前までは、生ハムは買おうかどうか迷ったものだ。そのうえで、「次にしよう」となった。その1つの理由は、どうも高そうに見えたのだ。
 立食パーティーがあるとすると、必ずメロンの生ハム巻きがメニューの中にあった。メロン自体が高いイメージがあるし、いいものは本当に高い。
 大阪市・梅田の阪神百貨店の果物売り場で以前、1個で1番高いものを調べたことがある。想像通り、メロンがチャンピオンに輝いた。ちなみに2位は黒スイカだった。今だったら、ブランドのマンゴーと競うかもしれない。
 そんなメロンと勝負するのだから、生ハムも高価なものだと思うではないか。巻いてある生ハムは薄く、それは高価なので分厚く着ると採算が合わないからだ信じていた。
 ところが自宅前にイオンモールができ、その中に輸入品を扱う店ができ、僕の考えが間違っていたことを知る。その店では真空パックになったものが、さりげなく置いてあった。
 高くない。いや、「高くない」と「安い」の中間くらいの値段。しかも、いつもさりげなく安売りになっている。それなら、安売りのものを「普通」として売り、「普通の」のものを「高売り」にすればいいのではないかと思いながら、安売りの棚しか見ない。。
 高そう、は錯覚だとわかったが、それでも買おうかどうかはいつも迷っものだ。真空パックの中で、ギューギューに重ねてあるので、1枚ずつはがすが面倒くさい。
 これは一重に、薄さのなせる技である。しかも、幅が細くなっている部分があって、下手をするとそこで切れてしまい、なかなか完全形で1枚を取り外せない。だから、一方が暑い層となって残ってしまう。これが購買意欲を失わせていた。ただ、この時期には「次にしよう」と「買っておくか」のせめぎ合いの時期だった。
 迷わなくなったきっかけは、スーパーでも国産のもを見るようになったことだった。これも真空パックだが、生はムをずらして重ねてあるので、1枚ずつはぐのに苦労はいらない。これなら迷った時でも、「買っておこうか」となる。このうよう歴史をたどり、僕にとっての生ハムはと身近になった。
 キャベツの葉を、少し塩を入れてゆで、しんありさせる。薄焼き卵を焼く。キャベツの葉を置き、マヨネーズをポン酢でのばしたものを塗る。その上に卵、パプリカの千切り、ミツバを乗せる。その上にまたキャベツの葉を乗せて、同じことを繰り返して重ねていき、最後にキャベツの葉でふたをする。食べやすく切って、皿に盛る。
 重ねているからミルフィーユ。何となくおしゃれの響きがあり、高そうに見えるが、生ハムが安いとわかった今は、もう高級感はないかも。(梶川伸)
 

更新日時 2019/12/04


関連リンク