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編集長のズボラ料理(387)おろし焼きうどん

手軽なソーセージを使ったが、豚肉があればそれにこしたことはない

 おろしそばがあるのに、おろしうどんがないのはなぜだろう。
 そばは積極的に食べる方ではない。ところが、続けざまに食べたことがある。それがおろしそばだった。
 2000年1月のことだった。取材で福井県武生市に行った。取材が終わってJRの駅に行くと、駅から歩いて回る観光地図が置いてあった。時間に余裕はある。せっかくだから、少し遊んでいくことにした。
 地図にあった「定そば」という店に行った。満員で食べるのはあきらめた。京町地区の石畳を歩く。引接寺(いんじょうじ)などに寄ったあと、心残りだったのでもう1度、定そばをのぞいた。
 今度は入ることができた。おろしそばを食べた。値段は550円(今は上がっているだろう)。やや深めの皿に、そばが盛ってある。大根おろしを入れただしが、別についている。どうするのかわからないが、つゆをかけて食べた。そばは太い。細めのうどんほどの太さがある。そのうえ、ゴムのように固い。上に削り立てのカツオ節が乗っていた。
 大根は辛かった。食べているうちに、それが癖になる。思わず、もう1杯頼んだ。遠い場所なので、「もう来る事はないだろう。せっかくだから」だった。1つの店でそば2杯を頼んだのは、人生初の快挙だった。
 3杯目はさすがにやめた。しかし、おろしそばの力は結構強い。もう1杯、どこかの店で食べてみようと決断した。街をブラブラして、「お清水の里」というそば屋の入った。石の鉢に水が落ちていて、鉢にはワサビが生けてあるしゃれた店だった。おろしそばと、せっかくだから日本酒を頼んだ。何が「せっかく」か分からないが、1日におろしそば3杯は、人生で今後もないだろう快挙だった。
 駅では駅そばも食べた。1日にそば4杯という人生初のやけくそ食いで、そんなことはやめた方がいい。
 おろしうどんはないのではなく、食べたことがない、というのが正確かもしれない。そこで、作って食べてみることにした。ただし、焼きうどんとして。
 冷凍うどんをゆでて戻す。キャベツとソーセージを切って、うどんと一緒に炒める。味付けはしょうゆとコショウ。皿に盛って、大葉の細切りを周辺に飾る、真ん中に大根おろしを乗せ、ポン酢をかける。
 武生以降、おろしそば時々食べる。福井県・今庄でも食べた。大阪市・なんばの高島屋の地下の今庄蕎麦でも食べた。大根力強し。(梶川伸)2019.12.17

更新日時 2019/12/17


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