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編集長のズボラ料理(366) 青森とろろとワカメ・青ノリミックス

普通のナガイモでもいいが、できればねっとり系を

 最近気に入ったものに、青森県の「ねっとりながいも」がある。「ちょっと味見を」1580回でも紹介した。
 最初にこの「ねっとり」に遭遇したのは、家の近くのスーパー「近商ストア」の特売コーナーだった。入口の自動ドアが開くと、正面にそのコーナーがある。
 そこに並ぶのは、選ばれた野菜類である。シイタケ、トマト、カボチャ、ナス、オクラ、トウモロコシ、レンコン、ズッキーニ、ナガイモなど。ほかにも時々顔をだすものもあるが、先に挙げたものが特売ナインと言っていい。
 この9つが、3種類ずつ並ぶ。それなら、同じようなものの繰り返しになるじゃないか、と思うだろうが、そうでもない。例えば1つがシイタケとして、残りを決めるとする。2つ目はシイタケを除いた8つの中からとなる。3つ目は2つを除いた7つの中から。
 つまり、8×7=56通りの組み合わせがある。だから、行く日に何が並ぶかを予想するのは並大抵ではない。食材を手に入れるのは数学である。
 僕はよくナガイモ狙いで行く。たいていは1本298円で、300円を切っていると、たとえ2円でも大いに得をした気になる。
 ある時、そこに並んでいたのが「ねっとりながいも」だった。「ねっとり」にひかれて買ったのだが、確かに粘りが強い。以来、ねっとりが出てくるのを、心待ちにする。
 選ばれた3つの中にあればいいのだから、ナガイモの確率は3分の1になる。しかし、ナガイモの順番の際、ねっとりが出てくるのは3分の1くらいだから、3×3=9日に1度くらいの確率が妥当なところだ。料理は数学である。
 しかし、近商に毎日行くわけではない。イオンは自宅にごく近く、近商に行く4分の1くらいの時間、つまり2分で食料品売り場まで行けるし、20日、30日は5%オフで、ついそちらに足が向く。散歩の途中には、寿がきやの即席「みそ煮込み」を買うためにアルプラザに寄ることがあり、そうなればついでにほかの物も買う。ねっとりに出会うのは、そう簡単なことではなかった。ただ最近、イオンでも見かけたような気がするが。
 ねっとりを、勝手に青森とろろと呼ぶ。すりおろし、茶色くならないように酢をたらし、よく練る。ワカメをサッと湯に通し、カットする。青ノリ、白だし、ワサビと一緒にかき混ぜる。
 食べ終わったら、また安売りコーナーに並ぶ日を推測する。買い物と料理は確率である。(梶川伸)2016.08.19

更新日時 2019/08/19


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