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ちょっと味見を(1618) 大和当帰菜

大和当帰菜

 遍路のお礼参りで高野山に行った帰り、少し足を伸ばして、奈良県五條市の旧西吉野村の農家民宿「農悠舎王隠堂」で、昼ご飯をとったことがある。料理は農産物ばかり。その中に、大和当帰(やまととうき)の天ぷらがあり、初めて食べた。
 昔は薬草を集めて大阪・道修町に卸すような仕事をしていた家で、その建物を使って地元の野菜にこだわった食事を出している。当帰は薬草として使われていたが生産量が減り、それを復活させようとしているらしい。生薬としては使わない葉の活用を考え、天ぷらにしたと教えられた。
 それから1年たって、奈良市の近鉄百貨店奈良店にある奈良野菜のコーナーで、大和当帰菜を見つけた。包装のケースには、「食用栽培出荷基準認定済」「大和当帰菜生産者協議会・大和ハーブ協会」の文字が並んでいた。
 使用法として、「天ぷら、サラダ、スープに、ハーブや薬味としてお使いください」と説明してある。切り込みの深いモミジの葉のような形をしている。生で口に入れると、ハーブ系の強い味と香り、刺激がある。
 自宅の庭にレモンバームがあるので、それに熱い湯をかけてむらし、ハーブティーにするが、生のままでそれを強くしたような印象がある。
 その刺激を楽しみながら、農悠舎王隠堂で聞いた「当帰菜の復活」が軌道に乗ってきたのだろうと、拍手を送った。(梶川伸)2019.06.15

更新日時 2019/06/15


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