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編集長のズボラ料理(351) アボカド・トマト・ソーセージのワサビマヨネーズ・グラタン

アボカドとトマトだけでもいい

 料理名人の友人に以前、チューブ入りのワサビをもらったことがある。「ワサビくらい、イオンで買うわい」と思った。
 そのワサビは精肉店で買ったという。「何でお肉やさんやねん」とも思った。でも、いずれも口に出すのは思い留まった。
 何せ、低温の湯でローストビーフを作る技の持ち主である。その牛肉を買った店のワサビに違いない。うかつに文句を言うと、「何も知らない素人が」と言われる恐れがある。
 このワサビはステーキ用だった。テレビの番組で、ステーキハウスでワサビをつけて食べるシーンを見ることがあるが、僕には縁がない。
 僕はほとんどの場合、焼き肉屋さんである。そこではワサビなどない。同じ牛肉なのに、何でだろう。ふと気づいたことがある。ステーキの場合、店は「ハウス」であって、「屋」ではない。焼き肉の場合は、「屋」であって、「ハウス」ではない。そこに、ワサビを使うかどうかの線引きがあるのではないか。
 考え出すと頭が痛くなるので、自宅で牛肉を焼き、鼻がツーンと痛くなるほどワサビをつけて食べた。以来、ワサビにはこだわっている。友人への対抗意識である。
 ワサビは自宅に近い近商ストアで買う。長野県安曇野市、株式会社マルヰの「あらぎりわさび」。このワサビは鮮魚売り場に置いてある。向こうが肉なら、こちらは魚というわけだ。
 ワサビは本来、刺し身につけるのが王道だ。チューブの絵にも、マグロの刺し身に乗せたワサビの絵が、前面に描かれている。どうだ、と思った瞬間、後の方には肉に乗せたワサビも描いてあった。
 ワサビはなかなか、したたかだ。洋でも和でもこなす。そこで今回は洋。
 アボカド、トマト、ソーセージを食べやすい大きさに切る。多めのマヨネーズにワサビを混ぜ、具の3つを和える。グラタン容器に入れ、上にとろけるチーズを乗せ、オーブンで焼く。
 洋のものばかりを相手に、孤軍奮闘するワサビに拍手を送る。ただ1つ、不満がある。
自宅の冷蔵庫は、卵を入れる場所の後に、ショウガやカラシなどのチューブを立てる四角の穴がある。ところが買い求めるワサビはキャップが大きくて、そこに立てられない。だから、チューブが立っている横で、ふてくされて横になっている。(梶川伸)2019.05.24

更新日時 2019/05/24


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