編集長のズボラ料理(323) アサリとサーモンのジュレ
ジュレ。何とおしゃれな響きなのだろう。
ジュリーではなない。「リー」と伸ばしてしまうと、窓際で寝返りをうちながらダラダラした感じがある。
ジュエリーではない。それは成金的で、僕たちには縁がない。縁があるとしたら、どこが高く買い取ってくれるか、といった逆にみみっちい連想がある。
ジェリーではない。それではトムとコンビを組まなければならない。
ゼリーはどうか。どうも似たようなものらしいが、上品さが違う。ゼよりはジュ、リよりはレ。第一、ゼリーはお菓子を連想してしまうではないか。
カップに入っているゼリーは、熱があって食欲がない時に食べるものと決まっている。体調の悪さが長引いた場合、ゼリーだけでは飽きてきて、プリンを混ぜるテクニックも使わざるをえない。たまにはヨーグルトも仲間に加わる。
たいては食べ切れない間に、熱は下がってしまう。そうすると、ご飯とおかずを食べたい気持ちを抑えて、ゼリーを食べ切らなければならないのだ。
その点、ジュレはおかずである。それどころか、料理の雰囲気がある。しかもナイフ、フォークで食べなければならないような孤高さを思い描く。それはジェレの響きかくるだけのことで、ズボラ料理となると、ちょっと違う。
殻付きのアサリを用意して、酒蒸しにする。殻から身をはずす。アサリのスープは残しておく。
刺し身用のサーモンを食べやすい短冊に切りにし、わずかに白だしをかけておく。色ものとして、ズッキーニを軽く塩ゆでし、小口切りにする。ラデッィシュは軽く塩をして、薄切りにする。
アサリのスープに水を加え、白だしを少し多めに加えて、ゼライスとともに煮る。普通のしょうゆも少し加え、色をつけた方がいいと思う。鍋から容器に移し、冷えて固まったらさらに冷蔵庫に入れる。これをジュレとし、食べやすいように切り崩して皿の底に敷く。その上にアサリの身とサーモン、ズッキーニ、ラデッシュをあしらう。ジュレがみそだから、それが見えるようにして、料理らしさを出す。
ジュレがしょうゆ代わり。品良くナイフ、フォークで食べるよりも、ズボラにスプーンを使うのをお薦めする。箸では食べにくいし。つまり、ジュレとはやっっかいな食べ物である。(梶川伸)2018.12.29
更新日時 2018/12/29