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編集長のズボラ料理(319) イカとセロリと竹輪の炒め物

火が通り安いものばかりなので、ソロリソロリではなく、強火で手早く

 「セロリ」と聞くと、なぜか曽呂利新左衛門(そろりしんざえもん)を思い浮かべる。発音が「セロリ」と「そろり」とが似ているからではある。
 僕が71歳という年齢だからだろう。ほとんどの人は知らないだろうし、特に若い人はチンプンカンプンに違いない。そんな人には、「アイム そろり」の話である。いや、「チンプンカンプン」ですら、聞いたことのないチンプンカンプンの言葉かも。
 曽呂利新左衛門は刀の鞘師(さやし)で、話し上手なので、豊臣秀吉のはなし衆に加えられた。とんちに長けていたらしい。有名なとんちがある。秀吉が「余の顔はサルに似ているか」と尋ねた時、「サルが殿に似ているのです」と答えたとか。
 なぜ曽呂利を知っているのか、考えてみた。幼いころに、テレビで見た覚えがある。僕が見たのか、親がみていたのを一緒に見たのかは分からない。それでも、めがねをかけていたのは記憶にある。それも鼻めがねで、端にひもがついていたような気がする。
 それだけの印象しか残っていないが、安倍晋三首相風に言えば「いずれにしても」、セロリのことを書くためには、曽呂利のこと持ち出す以外にはない。つまり「いずれにしても」は、その前と後とで、脈絡がなくてもいいように使う言葉であることを、日本のトップがやっているので、問題はない。
 大人になったセロリを食べるようになったが、食べ方は長く固定していた。細長く切り、ニンジンや大根との3点セットセットとして、マヨネーズで食べる。明太子が日本中を席巻してからは、明太子マヨネーズが主流になったが。
 セロリは生で食べるものと思い込んでいたから、中華料理の炒め物の中にセロリが入っていたのは衝撃的で、セロリセロリとゆっくり口に運んだ。野菜炒めでセロリのほかに驚いたのは、ミョウガだった。京都府福知山市で遍路仲間に中華料理店に連れていってもらい、ランチの野菜炒め定食を頼むと、たくさん入っていた。「ミョウガを食べると物忘れをする」と言われるが、そうではない。10年も前のことなのに、はっきりミョウガを覚えているからだ。ただ、ミョウガ以外に何が入っていてのか定かでない。となると、言い伝えは半分は当たっているかもしれに。
 イカは短冊に切る。セロリは包丁で太い繊維の部分をそぎ取り、細長く切る。竹輪も細長く切る。鍋にサラダ油と入れ、香りづけにゴマ油も加えて熱し、具材を炒める。コショウをふったうえで、中華の味をつける。鶏がらスープ、砂糖、塩、しょうゆなどで丁寧に作るのもいいが、僕は面倒くさいからチューブに入った中華味の香味ペーストを使った。こんなズボラ料理だが、みなさんのめがねに合うかどうか。(梶川伸)2018.11.20

更新日時 2018/11/20


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