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編集長のズボラ料理(295) 空豆と鶏ミンチ炒め煮

空豆は案外火が通りやすので注意

 ソラマメは空豆と書く。さやが空に向かって伸び、実(豆)をつけるからだという。
 空っぽの「空」ではない。ちゃんと豆が入っている。ただ、さやは内側に柔らかいフェルトのようなものがついていて、豆を包みこんでいる。寒い時に、起毛つきの服を着ているようなものだ。
 しかし、そのぬくぬく上着のために、外からは豆の実態がわかりにくい。着ぶくれしているだけなのか、豆がプクプクに太っているのか、実に見分けにくい。しかも、この差は大きい。
 さやを破ってみて、豆が小さいと、ガックリと肩を落とすほど損をした気になる。大売り出しの抽選で、ガラガラを回して白い玉がポトンと落ちた時のむなしさの比ではない。
 以前、正月におみくじを引くと、凶が出た。おもしろくない。別の神社に行ってもう1度おみくじを引いた。すると、今度は大凶だった。この天文学的な確率の低さに、自分は何と不幸なのかと落ち込んだ。やけくそで、もう1つ神社を回った。このはしご参拝のおかげで、3度目は大吉だった。トータルすると、1勝1敗1大負けとなった。
 空豆は上着が厚いので、豆は全体量の半分もない。だからこそ、大きな豆であってほしいと思うわけで、空くじを引いた時のショックは凶に匹敵する。中には、極端に小さな豆が入っている時がある。これは大凶にあたる。あまりに小さいので、使おうか使うまいかと熟考し、結局はもったないので使うことになる。そんなみじめな思いもしなければならないのは、大凶以外の何者でもない。
 そろそろ、空豆もシーズン入りしてきた。実も吉や大吉の可能性が高まるので、料理に使うには良い時期の到来だ。
 空豆はさやからはずし、固めにゆでて、皮をむく。鶏ガラスープの素で、スープを少し作っておく。鶏のミンチ炒めた後、空豆を加え、スープで煮ながら、コショウ、チューブに入った中華味のペーストで味をつける。ペーストがなければ、スープの素を増やし、それに砂糖少々、薄口しょうゆで味をつける。最後に溶いたカタクリでとろみををつける。これは結構、外れがない。(梶川伸)2018.28

更新日時 2018/02/28


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