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編集長のズボラ料理(274) エビと枝豆のはんぺんボール揚げ

大葉を加えてもいい

 遍路仲間で時々集まって遊ぶ。平均年齢が75歳ほどと高く、明日がどうなるか分からない年齢だが、それにもめげず「あすなろ会」と名乗っている。
 「あすはなろう、あすはなろう」という井上靖の「あすなろ物語」を読んだ世代だからである。「今が1番若い」と意気軒高だが、体はついていかない。だからすぐに、休憩する。休憩するだけでは面白くないから、飲むことになる。
 最年長の会長役の男性が好きだからだ。「夕方の5時になると、手が震え出す。しかし、ビールを飲むと、震えが止まる」と、自信を持って言う。「アル中じゃないの」と聞くと、「違う、アルコール依存症だ」と譲らない。
 チンチン電車に乗って、大阪市・阿倍野から堺市に遊びに行ったことがある。堺市で与謝野晶子の生誕地、刃物の展示館、寺などを回っているうち、体力がなくなって、午後4時前に休憩することになった。まだ、会長の震えが始まらない時刻だった。
 ところが、そんな時間帯に開いている居酒屋さんを見つけるのは至難の業。やっと見つけたのは若者向けの店だった。さっそく会長はビールを注文する。ついでに枝豆を頼んでおいて、食べ物はゆっくり注文することになった。
 若者の店らしく、枝豆は200円台と安かった。というわけで、会長は「枝豆2つ」と声を上げた。「2つもいらない」と思ったが、後の祭りだった。運ばれてくると、高さが20センチもある。それのツインタワー。若者の店ならでは盛り方だったが、ぼくらはあすなろ会である。そんなに食べられない。ほかの食べ物も少し注文したこともあって、結局は枝豆小型冨士の1つすら制服できなかった。
 夏に枝豆はよく食べる。どうせなら、いろいろな産地のものを食べてみる。黒枝豆たんくろう、なにわの枝豆、岐阜黒豆、宇陀の黒豆枝豆、京夏ずきん、湯あがり娘、紫ずきん、とっとり茶豆、茶っころ娘、豆王、湯上がりっ娘、あま茶豆……。こうなると、「豆中」と言われそうだが、僕は「違う、枝豆依存症だ」と抵抗する。
 その枝豆を使う。枝豆はゆでて皮をむき、薄皮も取って豆だけにする。小エビは背わたを取って、枝豆くらいの大きさに切る。はんぺんを手でつぶして練る。卵の白身、カタクリ粉少し、塩少々を加えてさらに練る。枝豆、エビ、青ノリを入れて混ぜ、ボール状にして油で揚げる。
 枝豆は別に品種にこだわらない。ゆでただけに枝豆も、酔っ払ってくれば、分からなくなってくるし。(梶川伸)2017.08.22

更新日時 2017/08/22


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