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編集長のズボラ料理(263) ワカメのきんぴら

ネギなど、好きなものを加えて炒めてもよい

 ワカメは重宝する。使いやすいし、第一安い。
 その昔、徳島に住んでいたことがある。お客さんが来ると、お土産には徳島の番茶か鳴門の灰干しワカメをお土産にすることがあった。
 番茶はもんでいないものがあり、葉の形のままだからかさばる。それをビニール袋に入れて売っていた。買い求めて、お客さんにプレゼントする。軽いから値段も安いのだが、大きな荷物になるのが難点だった。それも面白いと僕の方は思ったのだが、受け取った人は迷惑したに違いない。
 灰干しハワメは灰をまぶして乾燥させたもので、量が増える。これも軽いから安い。やはりビニール袋に入れて売っていた。灰色で見栄えはよくないが、灰を落として湯に放つと、鮮やかな緑色に代わる。それが面白いと僕は思うのだが、もらった人は持ち帰るの苦労したに違いない。
 ただ、同じ人には、番茶かワカメか、1回しか通用しない。1回目は何とか持って帰るが、2度目は量にはごまかされないのだ。
 高いワカメもある。遍路旅の先達をしていて、高松市での昼ご飯の際、隆盛丸という店で食べたことがある。高松の友人に教えてもらった。漁師さんが営んでいる店で、ロケーションがいい。高松市のはずれにあり、最後は細い道を入っていく。巡拝は中型バスで行くのだが、道幅はそのバスがぎりぎり通れるくらいだから、どこか秘密の場所に行くようで楽しい。
 秘密の場所へは、外階段を上って2階へ行く。テラスから海が目の前に見えるが、店内はシンプルな造りになっている。ここで、冬の新カワメが採れる時期だけ、ワカメのしゃぶしゃぶを食べさせる。鍋には魚も野菜も入ってはいるが、主役は柔らかいワカメ。さっと鍋に泳がせて、バクバク食べる。髪の毛が少なくなった僕など、お代わりをねだって食べた。一緒に行った遍路のメンバーも気に入り、「来年も」の声も出たが、営業をやめてしまったので、残念至極。
 遍路旅の帰りには必ず、淡路島ハイウェイオアシスに寄る。その先の阪神高速神戸線が混むので、トイレ休憩が必要なのだ。そこでは、タマネギスープの試飲をするのが恒例になっている。飲んだ後、土産を探し、僕の場合は5回に1回の割合で竹炭生わかめを買い求める。肉厚のワカメを竹炭と一緒にゆでたもので、これがなかなかいける。値段も600円ほどだから買い安くく、うちの冷凍庫には常備してある。
 うちのワカメはそれだけではない。毎年5月の中之島祭り(大阪市)では、昔の仲間で鳴門の糸ワカメを売っている。乾燥ワカメだが、これには灰がついていない。持ち運びやすいから、毎年自らも買って帰る。だから、それもうちにはある。
 それだけはない。今はたまたま友人からもらった乾燥ワカメがある。それだけでもない。スーパーで塩蔵ワカメを、つい買ってしまうこともある。我が家はサカメのサンクチュアリみたいなものだ。
 ワカメはよく使う。今回はきんぴらにした。サンクチュアリからワカメを選ぶが、厚手の竹炭生ワカメが適している。しばらく水につけ、適当に切る。高菜の漬け物をざく切りにする。フライパンにゴマ油をひき、2つを一緒に炒める。だしの素、砂糖、しょうゆ、タカノツメで味をつける。使ったワカメはわずかだから、サンクチュアリは微動だにしない。(梶川伸)2917.06.23

更新日時 2017/06/23


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