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編集長のズボラ料理(250) 適当煮豚

いりいろな野菜を入れた方がいい

 遍路仲間は高齢者が多い。僕もそうだが。
 しかも女性が多い。ここが僕とはちがう。
 高齢者で女性となると、行ってみたいけれど、ちょっと勇気がない場所があるようだ。 1つは吉野家。みんなで行くところではないが、女性1人では行きにくいのであろう。
僕はしばしば店に入るが、女性単独もいくは女性グループで食べているのを、ほとんど見たことがない。若い女性でも入りにくそうだから、高齢者ではなおさらだと思う。
 しかし、サラリーマンや男子学生はよく利用している。テレビでもよく話題になる。「ども気になる」との気持ちで落ち着かなくなるのだろう。
そこで、「1度連れていってほしい」と頼まれることになる。まだ実現していないが、やがて、いつか。その場合には、おごってもらうことにしよう。
 もう1つの場所は大阪市・鶴橋。ディープな大阪だから、東京などから友人が遊びに来ると、よく案内するが、たいては焼き肉の臭いとコリアンムードに満足してくれる。ゴチャゴチャしたところも、この街の魅力である。そのゴチャゴチャした点が高齢・女性遍路仲間は二の足を踏むところでもある。
 そこで、「1度連れていってほしい」と頼まれることがあった。鶴橋は1人で行くより何人かで行った方が面白い。そこで男性も含めて10人ほどを案内したことがある。
 焼き肉は本場ではあるが、ほかでも食べることができるので、買い食いをすることにした。鶴橋の市場の中央部に、狭い屋根のない区画がある。そこにはチジミの店が並んでいて、店の前にベンチが置いてある。そのベンチが鶴橋を楽しむ拠点になる。
 チジミを3種類買う。ついでに韓国ノリ巻きも。メーンは煮豚。これは美味だし、そう高くないからうれしい。塊で売っている。人数が多いので大きいものを買うのだが、気安く切ってくれる店を探すのが重要なポイントとなる。その3つをそろえ、ほぼ手づかみ状態で食べると、それが鶴橋である。
 煮豚は単純な料理なのか、手の込んだ料理なのかよくわからない不思議さがある。しかし、正式な作り方を調べたことはない。豚は煮ただけでもいい味を出すので、適当にしても何とかなる。
 脂身のある豚の塊を用意して、塩とコショウをもみ込む。鍋で湯をわかし、コンソメスープの素を入れる。ニンニクの塊とスライスしたショウガを加える。後は冷蔵庫を開けて、残っている野菜くずを適当に入れる。例えば、タマネギのへた、キャベツの芯(しん)、ハクサイノの茎、シイタケのいしづき、セロリの葉、大根の先っぽ……。トマトは色がつくので、僕は避ける。煮立ったら豚を入れて煮る。
 後は成り行きに任せる。野菜の味がしみれば御の字だが、そうならなくても十分によい味になるので、心配することはない。適当な幅で切って、そのまま食べてもいいし、ショウガじょうゆ、カラシじょうゆをつけて食べてもいい。ここも適当である。(梶川伸)2017.03.23

更新日時 2017/03/23


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