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編集長のズボラ料理(205) ジャガイモボール

一貫性のないズボラ料理なので、ケチャップなどをつけて食べてもいい

 家にジャガイモがあれば、どこか安心感がある。食べるものがなくなったのに、スーパーに行くのがおっくうな時がある。例えば夜中にオリンピックの中継を見ていたため、昼間をダラダラと過ごす時だ。そんな時、ジャガイモは救世主となってくれる。
 ジャガイモはお腹を太らせることもできる。単純にゆでれば、こふきイモになる。塩をふれば、主食のようにバクバク食べられる。ここまで書いてきて、ふと気になることが浮上した。こふきイモはまだ、世の中に生存しているのだろうか。
 おふくろはよく、洋風のおかずの添え物に、こふきイモを作っていた。ジャガイモをゆでたあと、鍋の湯を捨て、ちょっとだけ火にかけて水分をすべて飛ばし、両手で鍋を持って揺すぶった。表面が粉を吹いたようになればでき上がりで、軽く塩をふって食べた。余分な味付けをしていないので、言ってみれば「素(す)こふきイモ」だが、これがいい。どこか洋風ぽくて、料理としての地位をしっかりと保っていた。
 外でトンカツを食べると、こふきイモがついていた。カツにはソースをかけるが、僕の場合はソースがこふきイモにかからないよう、細心の注意を払った。塩以外の味がついては、こふきイモのアイデンティティーを損なうことになると、かたくなに信じていた。
 しかし、最近は素こふきイモをあまり食べた記憶がない。食べたとしても、粉をふいていなかったり、塩以外の味がついたりする。
 ジャガイモは揚げても存在感を示す。ビールのつまみには持ってこいだ。しかし、これは僕が毎日新聞に入社した1970年ごろからの傾向だと、体験的に証明できる。当初は、飲みに行って、それを注文するのがシャレていた。ただ、「ポテトフライ」と言ってはダサイ(古いなあ)のであって、「フライドポテト」と言ってこそ、大人の飲み方になる。ハンバーガー屋のポテトフライでビールを飲まないのも、その一点につきる。
 ジャガイモをゆでて皮をむき、それをつぶしてマッシュポテトにする。ゆで卵を作って、白身の部分を細かく切り、ジャガイモに加える。塩、コショウ、粉チーズで味をつけ、あれば緑色のハーブの粉(パセリ、オレガノ、バジルなど)で少し緑色のアクセントをつける。ボール状に丸め、軽く小麦粉をふり、油で揚げる。素フライドポテトでもいいのだが、たまには違ったこともいいではないか。一貫性のない結論である。さて、黄身はどう使おうか。(梶川伸)2016.08.13

更新日時 2016/08/13


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