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編集長のズボラ料理(177) 甘酒ココア

甘酒とココアと、どっちの味を強くするか考えておいた方がいい

 食べ物や料理に関して、テレビの情報は役に立つ。いくつものテレビ局、たくさんの番組があるから、情報が豊富だ。「へー」「なるほど」「おもしろい」「そんなものがあるのか」。大いに参考になる。
 ただし、場面はすぐに変わるのという欠点がある。覚えようとするが、電話番号や住所は、そうそう覚えられるものではない。そこで、メモを取ろうとする。メモ帳とボールペンはそばにはない。取りに行っている間に、場面は変わる。それだけならいいが、あわてているので、足を何かに打ち付けることもある。
 レシピの場合はどうか。固有名詞はあまりないので、必ずしもメモを取る必要はない。だいたい覚えていれば何とかなるもんだ。そう考えていると、落とし穴がある。塩小さじ1杯、砂糖大さじ2杯、みりん同量、酒少々、しょうゆ大3杯。細かい数字が出てくる。「○○は好みで」と言ってくれれば、ズボラ料理にはもってこいである。だが、なそうは問屋がおろさない。
 遍路仲間の女性が、テレビで得た料理を教えてくれた。「簡単でおいいしいらしいのよ。作ってみたら」
 簡単なら自分で作ればいいのに、そういう人に限って、他人に押し付ける。つまり、毒味をさせて、「今ひとつやなあ」と言えばほっておくし、「案外いけるわ」と報告すると、そこでやっと自分が動く。
 実はこのケース、難しい点がある。テレビ→彼女→僕への伝言ゲームだからだ。伝言ゲームはなかなか正確には伝わらない。さらに、彼女特有のネックがある。忘れっぽい性格なのだ。良く言えば個性ということになる。
 偉そうに書いているが、僕も負けず劣らずの個性を持っている。遍路仲間では、忘れ物3兄弟という3人組がいる。長男はお笑いグループ「TKO」の一方のお父さん、長女は彼女、末っ子が僕。僕以外の2人は、財布など大事なものをよく忘れて大騒ぎになった。僕は先達の朱色の杖を寺などに忘れ、それを取りに帰って迷惑をかけた。その3兄弟の中の2人が伝言ゲームをして、それで料理を作るのだから、不安×不安=不安の2乗となる。
 伝言は簡単だった。「甘酒にココアを入れる」。簡単すぎて戸惑った。ちょうど、僕の大好きな香川県の酒「凱陣」の酒粕があったのでそれを水に溶き、砂糖をたくさん入れて熱し、甘酒を作った。ココアはなかったので、わざわざバンホーテンの缶入りの粉を買ってきて、鍋の中に入れた。
 ちょっと変わった甘酒ができた。基本は甘酒だが、ココアの味が強く、ココア甘酒と言った方がいいかもしれない。これで良かったのか。テレビを見ていなから判断できない。後日、彼女に作る過程を話した。彼女は言った。「買ってきた甘酒に、ココアを入れるだけでいいのよ」。なーんだ、もっとズボラにできたではないか。それを言い忘れていたのが、さすが長女。(梶川伸)2016.03.13

更新日時 2016/03/13


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