このエントリーをはてなブックマークに追加

編集長のズボラ料理(162) キャベツとソーセージのカレーサラダ

キャベツと組み合わせるのは、好きな具材で

 友人に、きれい好きの女性がいる。彼女の家に時々、遊び仲間が集まって、ワイヤイやることがある。通常は5人だが、10人近くまで増えることがある。
 仲間には料理の上手な人がいる。僕もズボラな食べ物なら何とかなる。だから、台所を借リて、作って食べよう、ということにもなる。
 そうなると、大変な事態が発生する。事前に相談ができているから、彼女は十分に態勢を整えて、仲間を待つ。ガスレンジの後ろや横の壁には、新聞紙かアルミホイルが張ってある。揚げ物や炒め物をする時に、油が飛び散ってもいいようにしているのだ。
 これは緊張する。飛び散るのがレンジの後ろや横ならいい。しかし、油が飛ぶのはその方向だけではない。手前に飛んで、床に落ちたらどうするのか。しかも、監視の目は光っている。
 体で止める以外にない。野球の三塁手が強い打球を体で止めて前に落とし、それを拾って一塁に投げるようなものである。油の場合は前に落すと、床に散る恐れがある。服で吸収するか、飛んできた力をうまく利用して、レンジ台の上の落すしかない。そのためには、日ごろから厳しい練習を繰り返し、体で覚えるしかないのだ。
 でき合いのギョウザを買ってきて、焼いて食べたことがある。すると、各自のランチョンマットの上に、ラップが敷かれた。たれをつけて食べるわけだが、そそうをしてたれが垂れたとしても、マットを守る安全策だった。
 これも緊張する。マットよりもラップの方が小さく、マットの全面積をカバーしているわけではない。ではどうするか。顔を近づけていく。できれば、口と皿の距離は15センチがいい。そうしておいて、素早くギョウザを口に運ぶ。
 ただし、試練が待っている。前傾姿勢をしなければならないからだ。そのために、日ごろから厳しい屈伸運動をしていないと、姿勢が安定せず、タレをこぼして、冷たい目線を浴びることになる。
 その彼女が作る時は、なぜかキャベツ料理が多い。例えばお好み焼き。油は使うのだが、ごく微量に抑えている。逆監視してみるのだが、飛び散るほど量を使っていない。一定程度、油がある方が味はいいと思うのだが、口に出すことは決してない。
 キャベツと鶏のササミをゆでたサラダも出てくる。これは全く油を使わないから、威風堂々と運ばれてくる。簡単だから、内緒でズボラに採用した。勝手に少し変えて。
 キャベツは細目のザク切りにする。ソーセージも細長く切る。ちょっとコンソメスープの素を入れて、キャベツとソーセージをゆでる。キャベツがしんなりしたら、水分を絞って、塩、コショウ、カレー粉、少量のマヨネーズであえる。
 彼女がいければ、ガブガブ食べる。少々こぼしても、拭けばいいじゃないか。でも、決して口には出さない。(梶川伸)2016.02.02

更新日時 2016/02/02


関連地図情報

関連リンク