このエントリーをはてなブックマークに追加

編集長のズボラ料理(151) 枝豆ご飯

緑豆の枝豆ご飯。黒豆でもよい

 人生いろいろだが、枝豆もいろいろだ。
 夏はビールのあてに枝豆がいる。冬もほしいが、絶対ではない。スーパーでは売っていないから、居酒屋で頼む。時期外れなので、外国産か冷凍に決まっていて、バラエティーがないからだ。「いろいろ」どころか「いろ」までもいかず、「い」で片付くかもしれない。
 夏になると、そうはいかない。まず、大阪・八尾の枝前がスーパーに並んで、ビール・枝豆セットのシーズンが幕を開ける。この時点の枝豆は緑一色で、選ぶ際に悩むことはない。
 やがて岐阜の枝豆が出てくる。ここも緑である。ところが、同時並行で茶豆が出てくる。だだ茶豆もある。紫ずきんも加わる。枝豆はいろいろである。そして秋になると、丹波黒豆がいろいろの間に割って入る。いろいろすぎる。
 遊び仲間で丹波黒豆を刈り取りに出かけた。仲間の1人の知り合いが、兵庫県丹波市春日町で作っているので、分けてもらうことになったからだ。
 5人が1台の車に乗って行く。年配ばかりだから、恥というものをとっくに捨て去っていて、車の中でしゃべりまくる。丹波・篠山で仕事をしたことのある1人が、自分のテリトリーに入ったのを感じて、丹波のイノシシの肉について解説する。
 「このあたりのシシ肉で、新鮮なものには、うちたてと、ひきたてかある」。ソバみたいな話だが、よく聞くとそうではない。
 「うちたては猟銃で撃ったばかり。ひきたては車でひがれたばかり」。冗談ではあるが、イノシシの交通事故が多いことは想像できるので、「なるほど」と軽薄な相槌を打ち、時間を過ごす。
 さて、老夫婦に教えを請いながら、畑で枝豆取りを楽しむ。さやが緑のものよりも、少し茶色になって見かけが悪くなった方が甘みを増すという。「まるで自分たちみたい」を茶々を入れる。
 持って帰るだけビニール袋に入れると、老夫婦は別の畑から違う枝豆の株を抜いて持ってきてくれた。緑豆だという。また色が増えてしまった。それも豆だけ取って、土産にした。
 枝豆ご飯は、いろいろあるうち、緑豆を使う。黒豆より色がきれいだからだ。生のまま豆をさやから外す。炊飯器の米の上にコンブを乗せ、塩を入れ、香りづけに白しょうゆをたらす。豆を加え、炊飯器のスイッチを入れる。美しい緑に感謝して、黒豆ご飯を口に運ぶ。もちろん、ゆでた丹波黒豆とビールも横にある。(梶川伸)2015.10.22

丹波黒豆

更新日時 2015/10/22


関連地図情報

関連リンク