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編集長のズボラ料理(101) レンコンの素揚げマクワウリあんかけ

マクワウリを素揚げすると縮むので、この点を考慮して

 「まっか」と、おふくろは言っていた。僕が小さいころの話である。
 「まっか」とは、マクワウリのことだ。皮が黄色なのに、「まっか(真っ赤)」というのがおかしかった。
 そう書いてくると、変なことを思い出した。童謡の「夕日」をよく歌っていた。「まっかっかっか 空の雲 みんなのお顔も まっかっか」という歌詞があったのだが、それを「まっかっかっか サルのけつ みんなのおけつも まっかっか」と、歌っていた。自分のことではあるが、子どもはおもしろい。
 おふくろは「まっか」をよく買ってきて、メロンだと言って、家族で食べた。だから、僕はメロンだと信じていた。本物のメロンは皮が緑色だが、ほとんど食べることがないから、疑うことなどなかた。
 やがて、本物のメロンとは随分見かけが違うことを知る。それでもおふくろはメロンと言い張った。いや、「メロンの一種」だと言い張った。だから、疑いは持ったものの、「メロンの一種と言うなら、そうかもしれない」と、深く追及することはなかった。
 大人になると、やっぱりメロンとまっかは違い、おふくろの話は真っ赤なうそと確信した。第一、食べ方からして違うのだ。まっかは細長く切り、スイカのようにガブガブかんで、黄色い皮を残す。メロンは上品にスプーンを使い、網のかかった緑色の皮には歯型を残さないのだ。やがておふくろはまっかを買わなくなくなり、まっか・メロン論争はうやむやになってしまった。
 長い間、まっかを口にしていなかったが、数年前に淡路島・岩屋の道の駅で売っているのを見かけた。懐かしくなって買ってみたが、やっぱりメロンではないと確信した。
 それ以来、たまに買ってみる。まっかはまっかを呼ぶ。隣のおばあさんが。まっかをくれた。娘さんが作っているという。つい、「おいしかった」と言うと、またくれた。メロンではないから、バクバクたべる気にはならない。何とかしなければ。そのうち、またくれるかもしれないし。
 レンコンは輪切りにして軽く小麦粉をつけ、油で揚げる。シメジかシイタケ、パプリカかピーマンを小口切りにし、家にあるナガイモ、ナスなど何でも同様に切り、だし、砂糖、みりん、しょうゆで煮て、カタクリ粉でとろみをつける。それをレンコンにかけて食べる。小口切りの中に、まっかも加えると、甘みがついておもしろい。まあ、あんの中身は何でもいいわけで、あえてまっかを入れる必要はないが、とりあえず、今の手持ちのまっかをを片づけねば。次のまっかが届かないうちに。(梶川伸)

マクワウリ

更新日時 2014/09/25


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