気軽にお寺に③400年のソテツ 豊中・安楽寺
境内の一角を、大きなソテツが占める。豊中市の天然記念物に指定されていて、高さ5メートル、株周り5.5メートル。
樹齢は推定400年。ソテツの木肌は大きな鱗(うろこ)のようなもので覆われている。秦(はた)博文住職によると、その数が1年ごとに増えていくため、樹齢が分かるのだという。
秦さんは大阪教育大学で民俗学を学び、指導教官は鳥越憲三郎教授だった。鳥越さんが寺を訪れた際、「こんな立派なソテツがあるのか」と驚き、天然記念物に指定されるきっかけになった。
この寺のソテツは雌株で、5~6月に白い大きな擬宝珠(ぎぼし)状の花をつける。樹勢は衰えていない。それどころか秦さんは「平成に入って成長が早まったような気がする」と話し、「地球温暖化の影響ではないか」と推測する。
秦さんは一時、中学の教師を務めた。そんな縁で、中学生の寺体験を受け入れている。3日間の日程の中に、掃除、草抜き、座禅、写経を組み込む。生徒が弁当を広げる時に、秦さんは「私たちは命をいただいて生きている」と話し、「いただきます」の意味を説明する。(梶川伸)
【安楽寺】豊中市柴原町5-5▽06-6856-3359
=地域密着新聞「マチゴト豊中・池田」第34号(2012年1月12日)
更新日時 2011/12/14