編集長のズボラ料理(816) とろろ梅干しそうめん
そうめんのつゆに、辛みは何を使うか。僕はおろしショウガを入れる。
子どもころは、そうめんよりも冷やむぎだった。赤や黄色の麺が少し混じっていて、それがおいしいわけではないが、食べると得をしたような気分になった。弟がいたので、色麺は取り合いになった。色麺を加えただけだが、本数の割合が絶妙で、簡単ながらうまいアイデアだと思う。
子どものころはもちろん、つゆに辛みは入れなかった。その後は何を入れていたか、はっきりとは覚えていない。ショウガに固定したのは、高松市に1年5カ月住み、讃岐うどんを食べたことがきっかけだった。
讃岐うどんは七味や一味ではなく、おろしショウガが主流だった。セルフの店の場合、うどんを丼に入れて、トッピングを選ぶと、お金を払う。その場所に、刻みネギ、天かす、おろしショウガが容器に入れて置いてある。だから、オートメーション方式で、その3つをうどんにのせた。その方式が身についてしまった。
実は、香川県にはうどんのほかに、小豆島そうめんもある。それもショウガで食べた。この習慣は、おいそれと抜けない。関西に帰ってきてからも。
僕の家族は、つゆにはワサビを入れる。世界で分断が進んでいるが、うちではそうめんにおける分断が顕著で、しかもショウガが少数派、つまり僕だけ。高松は僕が単身赴任したので、ほかの家族は讃岐うどんに影響されていないからだろう。
ソバはどうか。僕はつゆにワサビを入れる。では、そうめんとの違いは何か、と聞かれると、自分でもよくわからない。讃岐うどんとそうめんの関係よりも、讃岐うどんとソバの方の関係性が薄いので、ショウガの呪縛から解き放されているのかもしれない。
親類が和歌山に住んでいる。和歌山は梅干しの産地で知られる。その親類は、そうめんつゆに梅干しを入れるという。特産を生かした和歌山そうめん。和歌山ラーメンもいいが、これも良さそうだ。梅干しが送られてきたから、これは作らねば。
そうめんをゆで、水洗いしたあと、氷水にを張った器に入れて冷やす。市販のつゆに、すり下ろしたナガイモを加える。さらに、つぶした梅干しも。刻みネギも入れて、そうめんを食べる。
即席ラーメンの場合は、たいていはコショウをふる。ただ、みそラーメンだけは一味にする。なぜかなあ。(梶川伸)2025.08.11
更新日時 2025/08/11