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編集長のズボラ料理(777) 柿とゴルゴンゾーラチーズの春巻き

 チーズは好きな人と嫌いな人にはっきり分かれる。においのせいだろうか、味のせいだろうか。
 もう1つ理由があるのではないか、と僕は思う。それは種類の名前の言葉の響きではないか。。
 モッツァレラという種類がある。何かモッチャリした響きに感じる。名前からは、どんなチーズか想像できない。でも、これは何とかなる。響きにこっけさがあるし、実際食べてみると、表面は白くて固く、中はネットリしているので、チーズに距離を置く人にも案外ハードルは低く、最初の一口を乗り越えれば、好きになる人は多い。
 僕もその1人だが、娘はさらに輪をかける。家に時々遊びに来る。正確に言えば、昼ご飯を食べに來る。通常は前日に予告があるから、食材の準備できる。
 しかし、時に予告なしの不意打ちがある。そのため、トマトとモッツァレラは常に冷蔵庫に用意してある。2つを皿にあしらって、カプレーゼと言えば、満足をして食べる。バクバクと口にするから、丸い容器で売っているモッツァレラは1度でなくなる。
 ゴルゴンゾーラ、これはいけない。どんなものか、さっぱり想像できない。それに、不気味でおどろおどろしい響きがある。それのため、実物を見もせずに拒否反応を起こす人が多い。
 では、実際に目にするとどうか。これもいけない。白いチーズに緑が混じるので、不気味さが増す。これは何じゃ、と説明を聞くと、さらにいけない。緑がカビだと教えられ、ノックアウト状態になりうる。
 ゴルゴンゾーラは覚えにくい名前だ。だから昔は、碧カビのチーズと言う人がいた。それがいけない。カビの印象は悪いのに、モロ名前に入っているではないか。
 正月に餅が残ると、しばらくして青カビができる。食べる時は、その部分を取り除く。チーズの場合は取り除きにくいからそのまま食べてもいいのか、と疑問を持つ人もいるはずだ。
 僕はチーズを結構食べる。ゴルゴンゾーラも好きな部類になる。そう書くと通っぽいが、実は最初からではない。やはり緑色が気になった。食べてみて変わったか、というとそうでもない。においが強いからだ。ところが食べる回数が増えると、やみつきになってくるから、つまりは慣れなのだ。
 テレビで、ゴルゴンゾーラを使った料理を見た。そんなのありえない、と思った。最初は何でもそうなのだろう。勇気を出して作ってみた。
 春巻きの皮を用意する。ゴルゴンゾーラは細長く切る。柿は皮をむき、棒状に切る。この2つを春巻きの皮に包み、油で揚げる。
 娘が来た時にも作った。買ってきたゴルゴンゾーラは半分ほど残った。そんな話をすると、娘はためらいなく持って帰った。その日は仕事だった夫も、好きだというのだ。いや、きっと自分が食べるに違いない。(梶川伸)2024.12.13

更新日時 2024/12/13


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