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編集長のズボラ料理(768) ジャガイモと高菜のピカタ

お好み焼き風に円盤状にする

 高菜の漬け物は 九州の代表的な食べ物だろう。大阪市・梅田の博多もつ鍋「やまや」で昼ご飯を食べると、明太子とともに高菜漬けは食べ放題だった。こんなにうれしことはない。ガバガバ食べて、後からのどは乾いてえらい目に遭った。
 博多ラーメンを食べると、たいていは高菜も麺の上に乗っている。なかには食べ放題もあり、ドンドン乗せて、あとからのどが乾いて、「セーブすればよかった」と、毎回反省する。
 新大阪駅で「九州駅弁」と銘打った駅弁を買ったことがある。正式には「博多めんたい・うなぎ・牛すき重」という名前だった。主役の3つのおかずが偉そうにしていたが、高菜漬けもきちんと入っていた。高菜は九州テイストを決定づける。
 地元の奈良市のデパートで、高菜漬けを買うことがある。ある時に買うと、「九州の春:三池たかな漬」という商品だった。九州人の高菜愛が現れているではないか。「春はどこから来るかしら」と聞かれて「光の国から」とでも答えようものなら、九州人は「いえいえいえそうではありません」とたしなめて、「それはおいしい高菜から」と答えるに違いない。
 そんな高菜ではあるが、関西でも一定の存在感はある。和歌山のめはりずしは、しょうゆをつけた高菜を使う。自宅に近いイオンで、小規模な京都・丹波の物産展をしていて、さば高菜巻きを買って味見をしてみたこともある。高菜は確かに存在している。
 奈良県の物産の小さな販売イベントで、御杖村の漬け物を買ったことがある。中身は奈良漬けではなく、赤かぶと高菜だった。自宅は京都と奈良の府県境で,散歩道の畑では高菜も植えているのだから、遠い存在ではない。
 30年近く前、高松市に住んでいた。昼食などを外食すると時々、「まんばのけんちゃん」が小鉢でついてきた。冬の讃岐の郷土料理。「まんば」は高菜の一種だから、こでも遠い存在ではなかった。
 実は僕は、高菜の漬け物が大好きで、冷蔵庫にはいつも入っている。今回はそれを使う。ジャガイモは細い拍子木切りにする。高菜漬けは適度な大きさに切る。フライパンに油をひき、ジャガイモを炒める。その際、だしの素も加える。しばらくして高菜漬けも入れてさらに炒め、溶き卵も入れて混ぜながら円盤状に成形する。
 高菜漬けで不思議に思うことがある。スーパーの漬け物コーナーで探すと、刻んでゴマ油で味をつけたものはいつもある。でも、僕がほしいのは、刻んでなくて、ゴマ油も使っていない、ごくシンプルな高菜漬けなのだ。それがない時が結構ある。関西では、それほど需要がないということなのだろうか。それとも、春を待たなければいけないのだろうか。(梶川伸)2024.10.26

更新日時 2024/10/26


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