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編集長のズボラ料理(766) 焼きナスと枝豆の茶碗蒸し

焼きナスと枝豆は上にも乗せる

 卵は使い道が多い。そのままシンプルに、卵かけご飯にして食べる。これはファンが多い。
 グルメな友人がいる。テレビの料理番組で、先生の助手を努めていたこともあり、料理もうまい。ついでに、おもしろい店を見つけるのも名人。
 兵庫県加西市のうどん店「がいな製麺所」に誘われて行った。店の主人は、「るみばあちゃんの店」で知られる高松市の人気うどん店・池上製麺所で修業したという。
 わざわざ車で出かけ、食べたのは釜揚げうどん(470円だった。今の時期なので、その後に値上げしているだろうが)。うどんは太目で、表面はネットリとしていて、腰は強い。輪切りにしたネギが乗っていた。テーブルの上のしょうゆをかけて食べる方式だった。さすがグルメの友人、食べるためなら、運転の手間を惜しまない。。
 友人は卵かけご飯(310円だった)も注文した。「そんなもん、家で食べればええやなないか」と言ったのだが、友人は「おいしいから」と言う。
 飯の上に卵が乗り、専用のしょうゆをかけて食べる。「専用」を除けば、当たり前の食べ方。ただ、ネギの輪切りと細い塩コンブが添えてあったのが、普通とは違う。そんな些細な違いのために、わざわざ2時間もかけて出かけるのが、グルメなのだろう。ついていけん。ついて行ったけど。
 シンプルさに少しだけ手間をかけると、ゆで卵や玉子焼きやオムレツになる。少し手をかけた料理は、「卵」から「玉子」に変わる。これはバラエティーに富む卵・玉子料理の象徴でもある。
 玉子焼きの基本形は卵を重ねながら焼くだけなので、手のかけ方はわずかなものだ。オムレツもしかり。
 さらに手間をかけていくと、手のかけ方の度合いによって、卵はどんどん違った料理に変身する。使い道の多い食材なのだ。    
 茶碗蒸しもシンプルなので、玉子焼きやオムレツに通じるものがある。ただ1つ、違う点がある。「素」茶碗蒸しはありえない。どうしても、具を入れたくなる。つまり、少しだけ手間をかける必要がある。具はほぼ、何でもいいが。
 だしをとり、少し白だしを加えて冷まし、生卵と一緒にしてよく混ぜ、裏ごしをする。焼きナスを作り、皮をむいて、器にいれやすい大きさに切る。枝豆は塩ゆでにし、さやをとり、豆の薄皮もむく。
 器の底に焼きナスを置き、卵液を入れ、ラップをかけて、レンジでチーンをして、茶碗蒸しを作る。上にも焼きナスを乗せ、枝豆もあしらう。
 蒸し器を使うといいのだが、うちの蒸し器は奥の方に押し込んであって、出すのが面倒くさい、どうしようか、といつも考える。毎回蒸し返す悩み。結局は手間を省くレンジにするが、時間の調整が結構難しい。そのたびに、蒸し器にすればよかった、と思う。手間を惜しむかどうかが、グルメかどうかの分かれ目で、僕は手間を惜しむタイプ。(梶川伸)2024.10.22

更新日時 2024/10/22


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