編集長のズボラ料理(765) レンコンの磯辺揚げ
子どものころ、正月の餅が大好きだった。少なくとも1週間、長ければ10日間食べ続けた。1度に10個も食べることもあり、今から思えば、親はは大変だったことだろう。お金もかかったに違いない。
正月前におふくろの実家に行くと、餅つきをするのを待っていてくれた。行かない時は、送ってくれていたのかもしれない。それなら、少しは家計は助かっただろう。
正月過ぎて行くと、鏡開きが待っていた。固い餅を切るのを手伝った記憶がある。のし餅も食べた。
おやじは焼き餅をお椀に入れ、湯を注ぎ、塩をふって食べるのが好きだった。そばで見ていて、どうもおいしいように見えず、僕自身はまねしなかった。
おふくろはきな粉をつけた安倍川餅が好きだった。もしくは砂糖しょうゆをつけて食べていた。どちらも甘いので、ほとんどまねはしなかった。
僕はオーソドックスにしょうゆをつけた。それも2度焼き。焼いてしょうゆをつけ、それも焼いて、もう1度しょうゆをつけて焼く。少し焦げたしょうゆが好きだった。
焼いた後、ノリを巻いて食べるのは、至上の喜びだった。いわゆる磯辺焼き。
当時は四角いノリ。それをあぶる。ここまでは迷いがないが、次が悩みごころ。大きなノリをいくつに切って使うか。4つ切りだと、餅を十分に包むことができるが、ちょっと贅沢な感じがする。
8つ切りだと、1枚で足りることがあるが、ノリの面積が小さく、満足感がない。そこで6つ切りにしてバランスを取ることが多かったような気がする。
僕は大人になっても、定年になって、餅好きは継続している。このため、ノリは常備している。ただし、四角の大きなナリではなく、それを3つ切りにした細長い焼きノリ。同じタイプの味つけノリもあるが、焼きノリにこだわっている。さしたる理由はないが、その方が通らしいと勝手に思っている。
そのノリを餅に巻くのは正月だけ。しかし、おにぎりに使うことが多く、欠かしたことはない。
レンコンは軽くピーラーで皮をむき、輪切りにする。しょうゆ、みりん、だしの素を混ぜて、レンコンをしばらく漬けておく。水分を切って小麦粉をまぶす。小麦粉を水で溶いて、天ぷらの衣を作る。水の量は少し抑え、濃いめの衣にする。レンコンを衣をつけ、ノリではさみ、さらに少しだけノリに衣つけて、油で揚げる。
息子も餅好きだった。子どもころは、砂糖しょうゆにつけ、そのうえでノリを巻いていた。邪道である。しかし、今でも正月に遊びに来ると、同じ方式を踏襲している。年をとっても、邪道は変わらない。三つ子の魂、なのだろう。(梶川伸)2024.10.13
更新日時 2024/10/13