編集長のズボラ料理(749) ギョウザの皮のチリメン・ネギ焼き
シラスかチリメンか、どっちが好きかと問われれば、チリメンと答える。これは家で食べる時の話だ。
どちらもイワシの稚魚。釜ゆでしたものがシラスで、ゆでたものを天日干しにしたもがチリメン。どちらもスーパーで売っている。おふくろからはチリメンジャコという言葉をよく聞いたから、昔はチリメンが主流ではなかったのだろう、と考えてしまう。
シラスは柔らかい。買ってきたものを1度に食べればいいが、往々にして残ってしむ。しばらくすると、黄色になって臭いがしてくる。こうなると、食べられない。
チリメンは乾燥しているから固さがある。買ってきて1度に食べると、口の中に刺さって血だらけにならないと気になるので、残すことになる。それでも、しばらくは大丈夫だから、チリメンの方が僕には使いやすい。
店で食べるならシラス選ぶ。遍路の先達(案内人)で高知県に行くと、安芸市の郭中ふるさと館に寄ることがある。昼食にシラス丼を食べてもらためだ。ただしここでは「釜あげチリメン丼」と名づけているからややこしい。
さらにややこしいのは、シンプルなシラス丼(釜あげチリメン丼)のほかに、かき揚げチリメン丼があること。こちらはご飯上にシラスを敷き詰め、その上にシラスと野菜のかき揚げが乗っている。シラスをあげているから、シラスは乾燥してチリメンのようになる。シラスやらチリメンやら、ややしいことこの上ない。
最初のころは値段は高いが付加価値をつけたかき揚げチリメン丼にした。しかし、釜揚げだけの方が人気があり、安い方に変えた。遍路旅のツアーで、昼ご飯の値段を落として喜ばれた珍しいケースだった。
さらにややこしくすると、シラス丼には生と釜揚げがある。どちらを選ぶかとなると、釜揚げを選ぶ。生は少し時間が経つと、臭いが出てくるから、無難な釜揚げの方を食べるのだ。
遊び仲間で、和歌山県湯浅町に行ったことがある。昼ご飯はシラス丼と決めていた。店の情報は全くなかったが、仲間の1人が「ここがにおう」と言い、湯浅駅に近い店に入った。釜揚げシラス丼を注文すると、店の主人が「今日は生のいいものが入った」と言って奨めるので、生の方を食べた。正解だった。
今回は家だからチリメン。ギョウザの皮の上に刻みネギを乗せ、さらにチリメンを乗せ、軽くしょうゆを垂らし、オリーブオイルをかけてオーブンで焼く。
湯浅で食べた生シラス丼は、全く生くささがなかった。鼻のきく友人はありがたいもんだ。(梶川伸)2024.08.06
更新日時 2024/08/06