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編集長のズボラ料理(673) キムチの天ぷら

衣は厚めに

 天ぷらとは、溶いた小麦粉を衣にして油で揚げたものだから、バラエティーに富む。
 もちろん、定番もある。高知市に所用で行った際は日曜市をのぞき、当然のように芋天を食べた。サツマイモの天ぷらだから、どこにでもあるし、家でも揚げる。それでも日曜市で食べるのは、表面がパリパリしているからだ。ただ、それだけのこと。書くこともそれぼどない。その点、変わり種はおもしろい。
 香川県の讃岐うどんの店では、天ぷらが並んでいて、選んでトッピングする。何を食べたか、自己申告制の店もある。香川県人のうどん愛をベースにした信頼関係で成り立っている。和歌山ラーメンの店には、サバの早なれ(押ずしの一種)やゆで卵、巻きずしがつきもので、これも申告制が多い。麺好きは嘘をつかない。
 僕は1年5カ月、高松市に住んで讃岐うどんの店を食べ歩いたが、1番おもしろいと思った天ぷらは、「竹清」という店のゆで玉子だった。正確に書けば、ゆで卵の天ぷら。
 ゆで卵を何で天ぷらにするのだろう。おろしショウガ、刻みネギ、天かすは取り放題だから、ゆで卵と天かすをトッピングすれば、それでいいじゃないか。どうせ食べる時には、衣は外れてしまうのだから。いつもそう思った。
 驚きのもう1つは、ツルツルのゆで卵の表面に、どうしたら衣をつけられるかという疑問だった。自宅でやってみたが、成功率は極端に低い。その時、讃岐うどんの奥深さを思い知らされた。
 遍路の関係で四国に行くことがある。仲間の車に分乗するが。大阪に帰って來ると、彼の自宅近くの大阪市・弁天町の居酒屋さん「満マル」で一杯飲む。ここでは、天ぷらではないが串カツで度肝を抜かれたものがあった。雪見だいふく。アイスクリームの天ぷらは食べたことがあるが、その変形だろう。いいのか、悪いのか。
 家にハクサイキムチがあったので、天ぷらにしてみた。茎の部分を使う。大き目なものがいい。ビニール袋に入れ、小麦粉も多めに袋に入れ、少しコーンスターチも加える。袋をよく振って粉をからめた後、ボウルに移して水を加えて衣をつけた状態にし、油で揚げる。衣はやや厚めがいい。
 讃岐うどんの店では、味をつけて煮た高野豆腐の天ぷらにも驚いた。丼からはみ出すゲソ(イカの足)や、はみ出し竹輪の天ぷら。うどんを上回る味のワンダーランド。そのうち、うどんの天ぷらも、トッピングとして店に並ぶに違いない。(梶川伸)2023.07.10

更新日時 2023/07/10


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