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編集長のズボラ料理(670) 空豆とニンジンのゼリー寄せ

ポン酢をふって食べてもいい

 甘納豆は結構好きだ。使用する豆はいろいろあるが、オーソドックスなアズキがいい。ずっとそう思っていた。私が先達(案内人)をしていた遍路旅(バス旅)で、僕の常識が引っ繰り返されたことがある。
 その遍路旅は面白かった。バスの中では、お菓子があふれ返った。1泊2日を重ねて10回あまりで四国88カ所を回る。次第に仲良くなると、参加者の何人もが、地元の名物や、別の旅行先で買ったお菓子を持ってくるようになった。
 バスが大阪を出発すると、朝のお勤め般若心経を唱える。それが終わると、お菓子は「お接待」として、みんなに回る。1泊2日では食べ切れないと言って、ビニール袋に詰めて持って帰る人もいた。
 印象に残るお菓子も多い。その中の1つが、貝塚市の「さとこの店の甘納豆」だった。店の正式名は井上甘納豆製菓。見るからに手づくりの良さを感じ、食べてもそうだった。
 いくつかの豆がセットになっていた。その中に空豆があった。どれも気に入ったのだが、それならば大きい方がいい。後日、所用で貝塚市に出かけた折、わざわざ店を訪ねて、空豆の甘納豆を買ってしまった。
 空豆は酒のつまみにもなる。この場合は、塩ゆでがオーソドックスだ。ずっとそう思っていたが、高松市に住んでいた時に、僕の常識がひっくり返った。
 香川県の名物に、しょうゆ豆があった。ほうろくで焼いていた空豆がはねて、そばあったしょうゆ壺に飛び込み、しょうゆ漬けになったのが始まりという。香川の人はこれが好きで、しょうゆ豆を細かく切って混ぜたソフトリームまであった。
 会社の元同僚で、定年後に野菜作りをしている男が時々、作った野菜を段ボール箱に入れて送ってくる。通常はいろいろな種類が入っている。今春送って来たのはすべてが空豆だった。娘夫婦にも分け、ご近所さんにも配り、通りかかった人にも押し付けた。でも大量にある。塩ゆでばかりでも飽きてくる。そこで、無謀な挑戦をした。
 空豆はさやからはずし、塩ゆでにする。皮をむき、ビニール袋に入れて、上からすりこ木でたたいて砕く。ニンジンをすりおろし、少し塩をふってから、水分を絞る。鍋に水を入れ、だしの素、白だし、ゼライスを加えて熱する。四角い容器を用意し、大き目のラップで内側に幕のように張る。
 だしのゼライスの3分に1を入れ物に取り出し、粗熱を取ってから容器に入れ、冷蔵庫で冷やして固める。その上につぶした空豆を乗せて層を作り、冷凍庫に入れて固めるめる。
 残りのゼライスはとろ火にかけたまま。その半分を取り出し、冷ましてから空豆の上に注ぎ、冷蔵庫で冷やして固める。
 その上にニンジンを入れて層を作り、冷凍庫で固める。残りのゼライスを冷ましたうえでニンジンの上に注ぎ、冷蔵庫で冷やす。固まったらラップを引っ張って5層ゼリーを取り出し、皿にあしらう。
 色合いはまずまず。ただ、ニンジンの層にゼライスが入り込み、4層になってしまった。残念。なお一層努力せねば。(梶川伸)2023.06.29


更新日時 2023/06/29


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