編集長のズボラ料理(608) 枝豆・コーン・ベーコンのかき揚げ
トウモロコシは甘いと実感したことがあった。2009年のこと。
遍路仲間10人が同窓会と称して、山梨県・清里、長野県・蓼科方面に遊びに行った。気のいいメンバーがマイクロバスを運転してくれたので、ワイワイ,ガヤガヤの旅だった。
清里を選んだのは、運転手役の男性の希望だった。「清里の牧場で、富士山を見ながらソフトクリームを食べたい」。そんなしょうもないことに、意欲を燃やしたからだった。
みんなで並んでソフトを食べた。富士山も何とか見えた。しょうもないことはなかった。確かに悪くない。いや、大阪市・新世界で通天閣を眺め、2度づけ禁止店で串カツを食べ、のに比べれば。気品に圧倒的な差がある。雰囲気のせいか、ワイワイ、ガヤガヤも収まり、大阪弁は標準語に変わっていった。
宿は清里のペンションだった。遍路宿とは響きが違う。名前も「○○屋」でなく、「ブロークン・エッグ」とカタカナだった。夕食もシタビラが出てきた。カツオのタタキに慣れている僕らは、それだけで戸惑う。
朝食はスパニッシュオムレツとパンと牛乳とくる。味つけノリもサケと称したマスの塩焼きもない。えらい違いや。
朝食はおまけがついていた。それがトウモロコシ。その場で食べるのではない。それぞれに券が配られた。
ペンションのそばには、トウモロコシ畑が広がっていた。作業している人を見つけて券を渡せば、1本収穫できる。畑の横で、皮をむいて生のまま食べる。これもおしゃれな演出。生は初めてだったが、とても甘く、みずみずしさも備えていた。
オルゴール館に行く。リゾートホテルにもう1泊。いつもの関西の日常とは、かけ離れた上品な旅だった。
枝豆はゆでて、さやから豆を取り出し、ボールに入れる。冷凍のコーンもボールへ。ベーコンも小さく切って加える。彩りとして紅ショウガを細かく切って少々。小麦粉を加えてよく混ぜる。まぶす程度ではなく、天ぷらの衣にするので多めに。パリパリ感を出すために少し酢をたらし、水を加えて練るように混ぜ、かき揚げができる状態にする。
天ぷら鍋に油を入れて熱し、スプーンでかき揚げの具をすくって入れる。油の量はヒタヒタくらい。はしで具を成形しながら、引っ繰り返しもして揚げる。
生のトウモロコシの実を包丁で切り落として使ってもいい。しかし、そこはズボラ料理。冷凍なら簡単だし、甘さもタップリ。だからこれを使う。上品さには欠けるが、関西の日常とはこんなもんだ。天ぷらに紅ショウガを使うのも。(梶川伸)2022.06.27
更新日時 2022/06/27