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編集長のズボラ料理(573) カブのオーブン焼き

少し焦げ目がつくくらい焼く

 シュラスコというブラジル料理がある。ブラジル風バーべキューと言ってもいい。大きな串に肉を刺して焼き、焼けた表面を切り取って食べる。
 奈良県香芝市のシュラスコの店「ジョーゴ」で、4人でランチを食べた。1ドリンクつき90分食べ放題2750円。店員が焼いた牛肉を、串に刺したままテーブルまで持ってきて、そこで切り取って皿に乗せてくれる。牛肉のほかにも、いろいろ運ばれてくる。
 店に入る前に、4人で誓い合った。「絶対、牛肉しか食べない」
 まず運ばれてきたのは、野菜のサラダだった。肉を食べるのに、これは必要だろう。それを皿に乗せて待ち構えた。まずやって来たにはペッパーステーキ。よしよし。続いてボンジリ。これもよし。ランプもよし。さらにワサビステーキ。これもOK.順調な滑り出し。
 店側はフェイントをかけてきた。ソーセージ。このくらいはいいだろう。また牛肉に戻り、ガーリックステーキ。いいよ。
 ジャブが増えてきた。ポテトサラダ。これはパス。みんな耐えた。ポタージュスープで2人が誓いを破った。ベーコンも2人。ガーリックライスも同様で、すっかり分裂状態。
 チキンは全員パスで、また結束を取り戻したが、豚肩ロースでまた1人裏切り。焼きパイナップルも1人。 
 ここからはほしいものを注文する作戦を転換した。再びボンジリ、ワサビステーキ。2切れ派もあって絶好調。そんな時に、焼いたカブが来た。意外さに全員が注文してしまった。表面が少し焦げていて、中はトロッ。
 いけるじゃないか。牛肉に飽きてきて、僕などは全料理の中の最高点をつけた。
 カブは得体が知れない。味があるようで、ないようで。たかがカブのようで、されどカブのようで。
 石川県加賀市、山中温泉の湯快リゾートの宿「よしのや依緑園」に泊まったことがあった。夕食はバイキングではなく、少し余分にお金を出しで、会席料理にした。アンコウの肝のカブのすり流しが出てきた。こんなことされたら、カブの勝ちに決まっている。
 大津市・堅田のビストロ中野で仲間と昼ご飯を食べた時は、生ハムと野菜のサラダに、赤カブのソースだった。やるなあ。
 金沢市・近江町市場で海鮮丼を食べた時には、かぶらずしも頼まざるをえないではない。丼よりかぶらずしは、当たり前ではないか。
 元同僚がカブをたくさん送ってきた。ジョーゴの余韻もあって、カブは茎の方だけ厚めに皮をむき、ほかは皮を残す。縦4つに切り、レンジでチーン。取り出してボールに入れ、オリーブオイルとクレイジーペッパーをふってコーティングし、油をひかずにフライパンで焼く。ジョーゴの変形。
 これだけでは物足りなくなって、つい牛肉も焼いてしまった。ジョーゴの誓いは、変形しながらも生きていた。(梶川伸)2022.01.09

更新日時 2022/01/09


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