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編集長のズボラ料理(545) 簡単三色押しずし

具は色を考えて好きなものを

 なんだ、そうだったのかー。テレビ番組「ケンミンSHOW」のような言葉を、感じることがある。料理を作っている時の話。
 そりゃあ、そうだ。定年になってから暇つぶしに始めた料理で、自分で勝手に想像して作っているから、基礎を知らない。たまに誰かの話を聞いたり、テレビで料理番組を見たりして、「なーるほど」と思うことだらけである。
 最近の「そうだったのかー」は、包丁の使い方だった。ゆで卵を半分に切る時、包丁の刃にラップを巻く。友人がフェイスブックで書いていた。これは朗報、それを読んですぐに卵をゆでた。
 ゆで卵は難しいことだらけの食べ物だと思う。まず、半熟卵を作るのは難しい。ゆで時間の問題だとは思うが、「そうだったのかー」はないのだろうか。
 奥さんを亡くし、自分で料理もするようになった遍路仲間が、「卵ゆで器で7分」と教えてくれた。これは「そうだったのかー」ではなく、「そう」で止まりだった。うちには卵ゆで器がないからだ。
 ゆでた後、今度は殻をむくのは技術がいる。へたをすると、白身に薄皮がついたままむいてしまう。薄皮を取ったとしても、殻の内側に白身がついてしまうことがある。時には白身の半分ほどがくっついて残ってしまう。
 ただ何度も繰り返すうち、湯から上げてすぐに水で冷やし、卵をシンクの壁にゴンゴン打ち付けて、殻にひびをたくさん入れる技を身につけた。これらの技は「そうだった」と止まりで、「かー」の感嘆部分に欠ける。それは強く打ち付けすぎて、卵自体が崩れてしまうことがあるからだ。
 最後にゆで卵を半分に来る時。何も細工をせずに包丁で切ると、約7割の確率で、包丁に黄身がついてしまう。水にぬらして切っても、約4割の確率で残る。もったいないから、指で包丁から取ってなめる。時には舌でそのままなめるが、これはしくじると、舌を切って血みどろになってしまう。そこで、「そうだったのかー」がほしかった。
 フェイスブックの通りやってみた。大成功。何と、卵だけでなく、巻きずしや押しずしを切り分ける時にも通用するではないか。ほかにも活用法はあるはずで、「そうだったのかー」の2乗、3乗のアイデアと知った。
 酢飯を用意し、押しずしを作る。容器の内側にラップをつける。容器からはみ出すようにする。底に炒り卵を敷く。その上に酢飯。次ははゆでた枝豆を薄皮も外して細かく切ったもの。また酢飯。さらにサケのフレークと大葉の細切りを重ねる。1番上は酢飯。上から強く押して、しばらくしたら完成。
 ラップの端を持って容器から引っ張り出し、引っ繰り返してラップを外し、具の方を上にして切る。この時に、ラップ包丁が活躍する。フェイスブックは役に立つもんだ。これを知らなかったら、この押しずしは作らなかっただろうなあ。(梶川伸)21.09.26
 

更新日時 2021/09/26


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