押しつけ花物語(42) ワスレナグサはケシ粒のように
ワスレナグサは名前が印象的だ。思い出が花に重なる。その音の響きもいい。
その実、強い花でもある。いたる所で顔を出す。ただ、花の小ささゆえに、好感を持たれる。
その花を押し花にしてみる。はさみで花を切ったとする。花はまるでケシ粒のようで、切ったままでは、花を開いた状態で押すことはできない。
そこで、手でそっと花をはずす。うまくいけば、指先に開いた形で残る。それを押す。ただし、うまくいくのは10回に1回くらい。今回もそう考えていた。
ところが今回はいつになく花が小さく、100ほどの花を取ってみたが、完形は4つか5つに留まった。
そこで不完全系も紙にあしらった。何だかワスレナグサらしくない。残念ながら失敗作ではあるが、思い出とは、そんなはかないものかもしれない。(梶川伸)2021.04.21
更新日時 2021/04/21