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編集長のズボラ料理(495) プリントースト

カラメルがパンにしみて、いいアクセントになる

 病気で食欲がない時、あるいは歯が痛い時は、食べやすいものがいい。そこで用意するのは、スーパーで売っている卵豆腐だ。ツルツルとのどを通るからありがたい。
 1つだけ難点がある。買ってきたままのプラスチック容器で食べるは味気ない。そこで皿に移す。これが一筋縄ではいかない。
 まず上面を覆っているフィルムをはがす。上面を下に向けたら、スルリ卵豆腐が出てくるかといえば、そうはいかない。容器との間に空気が入っていないから、容器の内側にへばりついて出てこない。そこで、容器の上面の方を皿に打ちつけてみるが、敵はしぶとい。次にテーブルで使うナイフを卵豆腐と容器に間に差し込む。やっと何とか出てくる。
 その時、形が崩れてしまうことが2分の1の確率で起きる。さらに、容器の内側に一部がへばりついて残っている。この部分を皿の上の卵豆腐の欠けた部分にくっつけて完形にしようとするが、不可能に近い。分かってはいるのだが、毎回同じ道筋をたどる。
 最近は茶碗蒸しも売っている。卵豆腐に具を入れてようなものだが、ちょっと変化があってありがたい。旅行に行って、宿の夕ご飯や和食の店のコース料理で茶碗蒸しが出てくると、「品数を増やすためだろう」などと思ってしまうのに、身勝手なものである。
 茶碗蒸しの場合は、卵豆腐よりは容器がましで、そのまま食べることになる。だから皿に移す時の苦労はない。
 体調が悪い時は、スーパーでゼリーやプリンもよく買う。案外安いのでありがたい。おふくろが高齢になってあまり食べなくなった時、プリンは口にした。その記憶があったので、高齢のおばが入っている施設に見舞いに訪れた時、いくつかの食べ物とともにプリンを持って行った。一緒に行ったいとこが口に運ぶと、プリンだけは食べた。
 スーパーのプリンは、容器のまま食べてもいいが、できればさらに移したい。カラメル部分が容器の底に入っているが、やはり半回転させて、プリンの上部に持ってきたい。そうしないと、プリンではなく、ンリプを食べている気になって、落ち着かない。そうなると、卵豆腐と道筋と失敗を経験することにになる、毎回。
 テレビで温めて食べる簡単料理を紹介していて、ほぼそのままズボラ料理にした。食パンにバターを塗る。その上にプリンをカラメルも含めて乗せてつぶし、平らにする。トースターで焼く。これなら、形良くプリンを出す必要はない。
 最近は瓶に入ったプリンを見かける。奈良の大仏プリンもそうだ。この場合はカラメルが底にあっても、そのまま食べる。ただし、このタイプのプリンはおおむね値段が高い。(梶川伸)2021.04.04 

更新日時 2021/04/04


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