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編集長のズボラ料理(447) 豚ミンチと大根おろしのハンバーグ

インスタでは鶏のミンチを使っていた

 「大根餅」と最初に聞いた時、「そんなのがあるのか」と半信半疑だった。
 餅も大根も白いが、色が同じだからいいというものではない。餅はモチモチしているのに、大根はシャキシャキしている。餅は伸びるのに、大根は引っ張っても動じない。そんな2つが合体するはずがない。
 そう思って、長い間食べることはなかった。ある時、神戸市・南京町で友人が買い食いをしたので、僕も勇気を出して食べてみた。何と、大根の固体がない。僕が想像していたものとは、全く別物だった。その時、大根はすり下ろしていることを知った。
 思い込みとは恐ろしいもので、そのために大根餅を食べるのが20年も遅れてしまったのだ。最初に聞いた時に食べていたら、と思う。1年に20個食べたとして、失われた20年の間に計400個は食べ損ねている。
 最初に想像力を発揮すればよかったのだ。あの大きい大根が小さな餅の中に固体で入っていると考えてしまった。頭が固い。
 ちょっと考えればよかったのだ、焼きもちを大根おろしとしょうゆで食べることもあるではないか。大根おろしが餅の中にあるか、外にあるかの違いだけだった。
 実は大根おろしには、いろいろな用途がある。揚げ出しと豆腐や揚げ出しナスにもかける。ハンバーグも和風ソースとして、使うこともある。天ぷらにも使うし、みぞれ鍋だってある。
 そう考えてきて、僕はもともと大根おろしが好きだったことを再確認した。酒のつまみがない時、大根が残っていれば、すりおろしてチリメンをかけて食べる。最初に疑問を持ったこと自体がおかしかった。
 スマホやインスタグラムを開くと、料理の得意な人が毎日、その日の料理や弁当の写真を投稿している。しかも、レシピつきだから、楽しみに見ている。先日、大根おろしを使った料理を投稿していた。さっそくアイデアをいただいた。ズボラ料理の得意なパクリである。
 豚のミンチ、大根おろし、ネギのみじん切り、おろしショウガ、カタクリ粉、卵、白だし少々をよく混ぜ、小さな小判型に成形する。フライパンに油をひき、両面を焼き、いったんふたをして蒸し焼きにし、中まで火を通す。皿にキャベツの細切りを敷き、その上の盛る。しょうゆ、砂糖、みりん、酢、酒、水を煮て、最後にカタクリ粉を加えてとろみをつけ、甘酢あんを作ってかけて食べる。
 なるほど。大根おろしはハンバーグの外にかけることもあのだから、中に入れてもいいのだ。投稿者は「フワフワになる」と書いていた。なるほど、さすがベテラン。(梶川伸)2020.10.18 
 

更新日時 2020/10/18


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