このエントリーをはてなブックマークに追加

編集長のズボラ料理(378) サケとジャガイモのみそ煮

インゲンなど、緑のものがあれば、もっといい

 サケの塩焼きにかなうものは、ほとんどない。朝ご飯のことである。
 宿に泊って、朝食が和定食だったとする。運ばれてくると、まず焼き魚があるかどうかを確認する。あれば、ホッと胸をなでおろす。日本の朝が明けたと実感するからだ。
 最近は1人用のコンロで、みそ汁や湯豆腐を作り、それを器に移してから口に運ぶ形式のメニューもある。おしゃれで、朝の儀式としてはいいかもしれない。しかし、焼き魚に比べれば、添え物でしかない。
 卵もカマボコもハムもサラダも、同じ事だ。あくまでも朝の主役は焼き魚であって、ほかの物はどう頑張っても脇役にすぎない。
 ただ、焼き魚があったからといって、安心してはいけない。魚が何かで、朝の気分が大いに変わる。塩サケであってこそ、グリークのペールギュントのような爽やかな朝となる。
 塩サバも悪くはない。ただ、朝の魚の色は朝日の色であってほしい。メザシもいい。しかし、少しスケールが小さい。
 色がサーモンピンクでも、注意しなければいけない点がある。サケではなく、マスがすました顔で皿に乗っていることがあるからだ。マスも悪くはないが、色は弱い。
 最近はバイキングの朝食が増えた。サケもメニューに入っていることがある。しかし、ほとんどの場合、小さく切ってある。塩サケは背から腹までの切り身でなければ、威厳がない。
 だから僕はバイキングの場合、サケにはこだわらない。こだわるのは、イクラである。北海道釧路市のホテルに泊った時、朝食バイキングにイクラがあった。メニューは多かったが、まずイクラを選び、ガバガバ食べた。辛いのでご飯と一緒に口に運んだから、すぐお腹が一杯になり、「しまった」とは思ったが。
 塩サケを焼いてから、ぶつ切りにする。ジャガイモとニンジンは皮をむき、食べやすい大きさに切る。鍋に油をひき、ジャガイモを少し炒め、いったん取り出す。油を少し追加し、今後はニンジンを炒める。その鍋に水を注ぎ、だしの素、みりんを加え、ニンジンを煮る。しばらくしてから、サケとジャガイモを入れて煮る、最後にみそを加えてさらに煮る。
 これもサケが主役で、ジャガイモにサケの味が移れば成功。ただ、朝ではなく、夜の気分の料理だと思う。(梶川伸)2019.10.10

更新日時 2019/10/10


関連リンク